「君と僕の6ヶ月」を歌う生田斗真さん、知ってしまった歌声

 

生田斗真さんの歌声を好きになってしまった。

一体どうしたらいいのだろう。

 

ジャニーズJr.をメインに、デビュー後のメンバーもゲストとして出演するNHK BSの歌番組「ザ・少年倶楽部

20周年を迎えたこの番組のスペシャルゲストとして登場したのは、生田斗真さん。

歌ったのは、SMAPの「君と僕の6ヶ月」素晴らしくて、最高だった。

 

生田斗真さんはJr.時代、2002年に「Four Tops(フォートップス)」というユニット名で、風間俊介さん、長谷川純さん、山下智久さん、生田斗真さんの4人で活動していた時期がある。

その期間は1年間だったものの、ファンにとって4人が揃うことの特別さは今も変わらない。

 

タッキー&翼のラスト出演のために、2018年のジャニーズカウントダウンコンサートでは一夜限りの再集結を果たして、その熱量はJr.時代の彼らを見てきていない私でもひしひしと伝わった。

「おしゃれイズム」や、色々な番組で生田斗真さんが短めにダンスを踊るたび、高鳴る胸に動揺しつつ録画ボタンをすかさず押した。風間俊介さんも稀に番組でダンスを見せてくれることがあり、Jr.時代の振り付けを昨日のことのように踊る姿に釘付けだった。

個人的に、「ZIP!」の早朝のディズニーシー から生中継で、ショーの振り付けを踊ってくれた時が、私にとっての瞬間最高ときめきランキングNo.1。

 

君と僕の6ヶ月」は、1994年にリリースされたSMAPのシングル「がんばりましょう」のカップリング曲。

作詞:三井拓さん 作曲・編曲:馬飼野康二さん

 

この僕にもう少しの勇気があれば違っていたの?

でも 君との思い出は消えないさ今もこの胸に…

 

“今”の視点で始まる歌詞で引き込まれて、次の歌詞に耳を傾けたくなる。

この2行の後で描写は過去の2人に移り変わって、彼の視点の語り口調で進んでいく。小説のように進展する歌詞だから3番4番と続いていく曲なのかと思っていたら、大きく割り振ると2番までで、短い歌詞。けれどその中にぎゅっとなっている物語性が素晴らしくて、どんどんと読み進めたくなる。

なぜこんなにも魅力のある歌詞を書けるのだろうと、作詞の三井拓さんが他に作られた曲を調べたら、知らずにいてすみませんと思うほど有名な曲ばかり。

SMAPの曲で好きな「笑顔のゲンキ」も「雪が降ってきた」も三井拓さんが作詞だった。デビュー曲の「Can't Stop!! -LOVING-」も三井拓さん。

田原俊彦さんの「抱きしめてTONIGHT」も作詞をしていて、この曲の歌詞好きなの!どうりで!!と時を超えて感動した。

作詞だけでなく、小説の執筆や舞台関係のお仕事もしてきているという経歴を見て、歌詞に感じる、小説のような描写の細やかさは気のせいではなかったと嬉しくなった。

 

深夜のコンビニ バイトを始めて

必ず立ち寄る君に恋をした

 

コンビニという場所で、深夜。ピンポイントなシチュエーションで始まる恋なのに、どうして有り有りと目に浮かぶのだろう。

歌詞の流れで言えば、番号を渡す渡さないの話でしょ?と想像しながら聴いていると、予想外に気の利いた彼女の引き止め方をした彼の行動に、ナイス!とテンションが上がる。

 

夜に出逢った恋だから 夢見てるのかと疑ったけど

この頬を君につねってもらうたび とても痛かった 

すごい。この歌詞はすごい。

会う場所がいつも同じ、それが浮世離れしている場所であればあるほど、日常に持ち込むことのできる関係性だろうかと考えてしまう心境を、“夜に出逢った恋だから 夢見てるのかと疑ったけど”という言葉で表しているところがすごい。

“夜”に“夢”が並ぶことで、これがいつか覚めてしまう眠りのような儚さなのだと感じて、

“君につねってもらうたび”と語っていることで、これが夢じゃないと信じられるように、不安になっては何度もつねってみてとお願いしていたのだと、彼の健気さがわかって切ない。

 

 

生田斗真さんはJr.の頃に「君と僕の6ヶ月」を歌っている。

それから年月が経ち、声変わりはとうに過ぎて、およそ18年ぶり。35歳になった今歌う「君と僕の6ヶ月」

この僕にもう少しの勇気があれば違っていたの?

“この僕にー”と歌い始めた生田斗真さんの第一声を聴いた瞬間。声!好き!と至極シンプルなときめきに落ちてしまった。

はっきりくっきりとマイクに乗る声。揺れやすくなる低いトーンで、安定した声を出し続けるのは難しいはずだけど、真っ直ぐ声が前へと伸びる。

喋っている時と歌っている時の声がすこし変化する人が好きなのかもしれないと、自覚した瞬間だった。

安定していながら単調にならずに、表情豊か。楽譜に正しくありながらのびのびと楽しそうに歌う。音がピタッとハマっていて、耳心地がいい。ピッチが完璧というのはこういうことなのかと、聴きながら思った。

そして明るく一点の曇りもなく歌うから、歌詞の少年感や刹那的な時間が浮かび上がって見える。

 

“勇気があれば”の“れ”の跳ね具合も好きだ。

一音上げて、“ば”の音で戻す着地も美しい。“違っていたの”で最後に伸ばす“の”のビブラートはさり気なく、でも無いのと有るのではきっと大きく変わる。

私は今回、ザ・少年倶楽部生田斗真さんが歌ったのを聴いて、初めて「君と僕の6ヶ月」を知った。トランペットが効いたメロディーに、裏打ちのドラムのリズム。好きにならないはずがなかった。

リリースから何年経っていても、今聴いて魅力を感じる曲で、SMAPの曲と聞いて、ああ!と思えるほど、突き抜けた明るさのメロディーにリアルの滲む歌詞という世界観が確立されていることに感動した。

 

生田斗真さんの“深夜のコンビニ バイトを始めて”での声色。

明るい照明からブルーの照明に変化するステージ演出の効果と完全にマッチしていて、アンニュイな空気に移り変わる歌声に、笑顔ばかりだった彼の涙を見たような魅力がある。

“ある晩おつりが切れてる振りして”の歌詞の“て”の上がり方が綺麗で、地に足つけながら、でもどこか浮かれてしまう恋心そのものだと思った。

 

クライマックスで盛り上がるサビで、カメラが右側からぐわんと寄るシーン。

前に出て来る動きと白のパーカーに、ほんのり星野源さんを思いだしたのは私だけ…かもしれない。

今回、一緒にダンスを踊ったジャニーズJr.は「少年忍者

生田斗真さんと共にボーカルを担当した内村颯太さん、川崎皇輝さん。2人の歌声も自信を持ってマイクに声が乗っていて、生田斗真さんのパートから2人のパートに渡った時に弱くなったと感じさせない声量と安定感がすごかった。

 

Jr.時代に覚え込んだことで、考えるよりも先に、体が音につられて動くダンス。何度も歌ってきて、音程もリズムも喉に馴染んだ歌声で、生田斗真さんの魅せてくれた素晴らしいステージ。

瞬間だけではない、生田斗真さんの歩んできた歴史を感じるひと時だった。

歌声をもっと聴きたい。いろんな曲を歌ってほしい。そう思ったのに、そのすべがない切なさは一体どうしたら。

魅力溢れる生田斗真さんの歌を、またいつかどこかで聴ける機会を願って、知ってしまった歌声に心奪われたままでいようと思う。