ライブ前ってどうしてあんなに楽しいの

 

ライブに行く日は特別。それはライブが始まる前から。

ラメが目に入るからと普段は気乗りしないメイクもしっかり塗ったくって行くし、ドームの小さな座席下のスペースにも収まるようにと小さめのバッグか、うちわやグッズが入って自立するトート型のバッグを持つ。

目立たずはしゃがないのが普段通りのはずなのに、地元にいるうちから頬や首元にボディーシールを貼って、ライブに行きます!感満載でも堂々としていられる。だって隠しきれないほど嬉しいから。

一人でドームライブに行くこともあって、Nissyのライブは2st、3rdのどちらも一人だった。

そういう時はそういう時で、服のコーディネートを考えて、Nissyのアルバムコンセプトや雰囲気に合わせて綺麗め大人チックなお姉さんを装うのが楽しい。考え過ぎて分からなくなると、ツアーTがどーんでカジュアルな時もある。

 

そんないくつもの思い出の中でも、

今日楽しかったな!と今でも振り返る1日がある。

それは、関ジャニ∞のライブ「十五祭」を観るため、東京ドームへ行った日。

 

ライブは18時30分から。

だけど、何もなくても会場近辺に早く来ていたくなる。グッズを買う予定もあり、13時頃には友人と待ち合わせをした。

ツアーオーラスの日で、13時頃グッズの列は無し。レジ前で少し待つ程度で、スムーズに買うことができた。

今回のツアーは夏だったこともあってか、列が作られる途中の地点に、給水場が設けられていたことにまず感動して、お水の用意も紙コップのスタンバイにゴミの片付けも、人件費が掛かるというのになんとありがたいんだと思いながら、厳かに一杯いただいた。

グッズを無事に購入できて、一安心しながら東京ドームシティをうろうろ歩いていると、これまでは競馬メインの渋い景観だったエリアが、お姉さんたちが嬉しくなりそうなカラフル賑やかな外観へとリニューアルしていて、座れる場所も増えて、気軽に食事をできるお店やキッチンカーが登場。

これは写真を撮りたくなると納得のトリックアート風なイラストの壁が可愛い。

 

すごいね!撮りたいね!と言いながら、でもまずはご飯に行こうねとひとまずその場を後にして、

一度下見をして友人を連れて来たいと思っていたカフェを目指して、東京ドームを離れて移動。

お昼ごはんとお茶の時間を兼ねて、まずはごはん。さらに追加注文でケーキとカプチーノ。追加注文でデザートってなんか、テンション上がる…!とこの時からすでに楽しかった。この日ばかりの贅沢。

 

友人と知り合ったきっかけは舞台「マクベス」で、劇場を探している様子のところに「グローブ座ですか…?」と話しかけた。それ以来、県を跨いでの友人関係。

普通に生活していたら出会わなかったかもしれないのに、ライブがある日にこうして顔を合わせて、関ジャニ∞の話をして。ライブだね!今日だよ!と盛り上がれるすごさを噛み締める。

今回のライブチケットは友人が当ててくれたもの。この機会がなければ、ライブは観られなかった。

会ってからようやく、そういえばゲートはどのあたりだった?と聞いて、答えられたのはまさかの小さな数字。えっそれはもしかするともしかするよ…?!と心拍数が確かに上がるのを感じながら、いやでもまだ入ってみないと分からないからね…と心を静めた。

 

後々になって、このとき明るいうちに水道橋駅の周辺を歩いておいて良かった!と思ったのは、ライブ後にご飯でも食べて行く?となった時に、怪しい客引きの人に頼らず居酒屋探しに困ることもなく、昼間に見たあのお店に行ってみよう!と迷わず歩けることだった。

昼間はお店が閉まっているとしても、なんとなくの外観で目星を付けておくと役立つ。これはきっと知らない街に遠征した時にもいいはず。

 

甘いケーキと、開演時間を逆算しつつの早めのカフェイン摂取でひと息ついて、お互いの近況報告も落ち着いたころに、さっき見つけた東京ドームシティのフォトスポットに行こう!と意気揚々と向かった。

今まで写真はもっぱら撮る方で、写るにしてもぎこちない笑顔しか作れないから、自分から写りにいくことはなかった。

けれど最近それが変わり始めている。よく見せようと笑顔を作るよりも、笑いすぎ?ってくらい吹っ切ったほうが清々しいし、誰と居るかでこんなに表情が変わるんだと気がついた。本当に嬉しい時は本当に嬉しそうな顔をしている。

静かに、でもはしゃぎつつ、お互いの写真を撮り合った。

きっとこの日の写真を、私はいつまでも大切にする。照れとか遠慮を置いて、楽しい!の赴くままに写してもらった、自分の写る写真をいいなと思うことができた。

友人と居て、関ジャニ∞のライブを数時間後に控えたワクワクの写る時間そのものだった。

 

友人と会えて、グッズが買えて、お茶ができた。フォトスポットで遊んだ。すでに満足度は100を超えた。

ここまでで一つのお出掛けとして充実している。この後に関ジャニ∞のライブがあるんだよ!信じられる!?と何度も口にしながら、開場時間に合わせて東京ドームへと入場した。

ジーッと発見されるチケット。ひとりひとスペースの回転扉。

通行を妨げない位置に移動して立ち止まり。待ってね、待ってね。せーのでいこう。息を合わせてひっくり返したチケット。アリーナだった。どうしよう。どうする?!とどうにもならないことを考えようとする慌てっぷりをなだめるかのように、空を飛ぶ気球。モニターには過去のドラマ映像と主題歌。エイトレンジャーのブラックからの宣伝と、丸子のポーチ押しテレビショッピング。

トリッキーな“ポーチ”のコール&レスポンス。どう答えていいか戸惑っているうちに、だいぶ気持ちは落ち着きを取り戻した。ありがとう丸子。

 

思いもしないセットリスト。「二人の涙雨」からの「ナイナイアイラブユー」という最高の流れ。

「Street Blues」まで聴けるなんて、奇跡の一夜だった。怒涛のメドレーにも感情の起伏が迷子になりながら、それでも振り付けは覚えた身体が自然に動く。

「勝手に仕上がれ」が聞こえた時にはもう、待ってました任しといてください!と全力で『K!A!N!J!A! N!I!E!I!G!H!T!』と声を投げる。ステージに向かって思いっきり。

日ごろは不自然だと思う状況で大きい声を出すことを強いられると泣きそうになる自分なのに。ここではできる。なにを伝えたいと思うよりも先に、この楽しい!が伝われ!とひたすらそれだけを願っていた。

 

いつもは手の届かない銀テープが、この日だけは頭の真上に降ってきた。

だけどステージにいる関ジャニ∞を見ていたくて、手は伸ばしながらも指先まで降りてきてくれたらと思っていたら、1本、手に握ったのはオレンジ色の銀テープ。

友人も私も丸山隆平さんが好きで、良かったこれで分け合えると思っていたら、前の席の方がふっと振り向いて、終演後に「よかったらこれどうぞ」とオレンジ色を譲ってくれて。ライブの最中に気づいてくれていたのか、自分の物にしたい気持ちがあるはずなのに驚いて、そして嬉しかった。

 

 

ライブは終わり、いつもならそのまま帰ろうかとなるところだけど、この日はなんだか互いに名残惜しくて、夜ごはんを食べて行こうかという話になった。

それで役立ったのが、昼間に見ていた居酒屋さんの景色。串カツ屋さんがあったよねと思い出しながら歩くと、暗くなって景色も変わっていたものの、たどり着くことができた。

お店はお客さんでいっぱいで、完全に出来上がっているサラリーマンさんたちは何やら陽気に歌っていた。カウンターに座って、梅キュウにジンジャーエールで、ライブ楽しかったぞ会を開催。紅天が食べられたのが嬉しくて、おかわりした。

 

あの曲がさ、あの時にさ、

“興奮冷めやらぬ”ってこれ、これの事を言うんだと思いながら、今日の1日が楽しいことばかりだったことに胸がいっぱいで、これを忘れないでいようと心に決めたのだった。

これからもきっと東京ドームには通うし、大阪・京セラドームにも行きたい。

名古屋で味噌煮込みうどんが食べたいし、北海道で見たい景色があるし、福岡で明太子をいっぱい買って帰りたい。

ライブ前の時間が楽しい。絶対的に楽しいメインイベントを目前にして、お茶ができたりグッズを買えたりすることが嬉しくて仕方ない。プロローグであるはずのこの時間が特別に大切であることをいつも実感しながらすごしている。