「十五祭」メイキングがすごくいい

 

あの幕の向こうでスタッフとして働きたい。裏方として働きたい。

そう思ったことのある人に、関ジャニ∞のライブDVD「十五祭初回盤に収録されているメイキングを見てほしい。

ステージ作りやライブスタッフに関心がある人には貴重な参考資料になること間違いない。出演者視点でも第三者視点でもなく、ライブスタッフの一員としてライブの裏側を経験できる素晴らしいメイキングだった。

 

映画のメイキングや、舞台のメイキング、ライブのメイキング。

それを見ることがとにかく好きだ。好きな人たちの素に近い顔を見たいというよりも、ステージを見ている時には視界に入ることのないスタッフさんたちの仕事が見たくて。

何かをつくる一員になる、ということに私は猛烈な憧れを持っていて、根っこの思いは今も変わらない。ステージを建設する人、場面に合わせた照明をつくる人、音響としてマイクや楽器やスピーカーの音の出を確認する人。書ききれないほどの人が関わって、あのワンステージが歯車を持つ大きな時計のように回っている。

同級生でもなく、部活でもない。だけど同僚と呼ぶのもなんだか違う。ひとつのものを作る人たちの間にだけある距離感と関係性に憧れてしまう。

 

「十五祭」のメイキング。一番テンションが上がったのが、ライブスタッフさんが装着したミニカメラで映される、ライブ中の舞台裏。

開演前のカウントダウン、曲間の移動、キューを出すタイミング。呼吸のすべてが映されていて、ノンストップで動き続ける時間との勝負を、緊張感を持ったドキュメンタリーになっている。

裏方のスタッフさんの中でも、各メンバーに一人つく、導線の案内や給水サポートをするスタッフさんにカメラが着いていて、幕の向こうにこそ出ないものの忙しさは出演する側と近い。これまでのメイキングでは、出演者とメイキングのカメラを挟んで立っていたり見切れることが多く、極力映らないように気を使われている印象で、あなたたちのお仕事が知りたいです…!と思っていた私としては、今回のメイキングが本当に嬉しかった。

関ジャニ∞を映すカメラの視点ではなく、スタッフさんが見ている関ジャニ∞の姿。

ドリンクを返されて見上げる視点や、衣装チェンジで投げられ降ってくるジャケット。幕を開けて、メンバーが出て行く背中。

 

ステージの上は人が立つために作られているけど、バックヤードは暗く、ステージ下や花道の下となると、人が一人通るので精一杯。タイヤのついた台に乗って移動したり、背中をかがめて移動する。

華やぐステージを作るためのそうした面を見るたびに、尊敬が深まって、夢を失うどころか感動が増す。

 

とは言っても、心苦しく思うのは、どこまでメイキングで映されることを本人たちとスタッフさんたちは望んでいるのだろうという部分。

嬉しい半面、オンステージに支障のきたさないプライバシーは保たれていてほしいと思う。

今回のメイキングは、メンバーもスタッフさんも双方大変な撮り方だったとは思うけど、あの空間にしかない息づかいを、本来は知らないままでいたはずの面を見せてもらえたことに感謝している。

 

映っているスタッフさんたちは各々片手で持てるライトを手にしていて、メンバーが歩く先を照らす。段差の多い裏側で足元を照らすのは大切で、あの明かりが点いているのと消えているのとでは大きく違う。

ステージ上でのことに全集中力を注ぐメンバーをサポートする緊張感は、きっと半端ではない。給水ボトルを渡すタイミングも、フタを外して手渡す気づかいも、次の移動が何秒後で、右に行くのか左に行くのかもスタッフさんの迅速な判断と応対にかかっている。

丁寧な心配りという視点で見ていると、見習いたいところが沢山ある。

 

 

2時間18分もある「十五祭」のメイキング。

他にも見どころはたんまりあって、昔なつかしい曲の振りを思い出しながら踊る姿や、大倉忠義さんが今回のライブ演出に熱心に関わっていく過程。ツアーオーラス東京ドーム公演の映像も、可能なかぎりDVDに残してくれたことが伝わる。

大倉さんがライブのリハーサルを見ながら、改善点をメモして話し合いをしているところを見て、ライブはジャニーズともなると専門の先鋭が揃って最高クオリティになっていくものなんだとどこかで思っていた自分の先入観が、そうではないことを気づかされた。

用意されたものに乗っかるだけでは、これまで観てきたようなクオリティのライブが変わらず完成する保証はなくて、ここをもっと、これはこう出来ますか?と確認して話し合って考えるブラッシュアップの工程がなくては、もっと味気ないものになっていたかもしれないと思うと、ライブの初日を迎えるまでにどれだけのことを考えて、ひとつのステージを作るために動く人たちがいるのかを実感する。

 

もっとじっくり見たいと思っていたステージセットの美術も、細かく映されていて嬉しかった。

道案内の看板が“Blues Street”になっていたり、ポップコーン屋さんがあったり。時計の針が8時を指していたのには感動した。

ライブ中の映像では、ユニット曲「二人の花」のため、大急ぎ移動のチャリンコ隊に大倉忠義さんと丸山隆平さんが仲間入りしていたのもワクワクした。場合によってはキックボードになっていたのも見どころ。

横山裕さんと村上信五さんのユニット曲「はにかみオブリガード」のリハを見られるのも、このDVD初回盤ならでは。村上さんのスケジュールがいつにも増してハードな時期だったのか、これまで見ることはなかった振り覚えに苦戦する村上さんが映っていて、慣れない歌割りに過去の振り付けと、覚えることが山ほどあったことが伝わる。

安田章大さんと錦戸亮さんのユニット曲「アイスクリーム」での演出を二人が話し合っている時のやりとりが印象的で、曲途中にマイクを取り替えてしまうと、イヤモニの回線を瞬時に切り替えなくてはいけなくなることを気にした錦戸さん。

切り替えが上手くいかないと、もしかするとキーンとなったりハウリングを起こす恐れがあるのかもしれない。大丈夫だよと言う安田さんだったけど、安全策を取ってそれぞれのマイクのまま持ち合う演出にした選択もすごいと思った。

 

 

私の中でのメイキング一押しシーンは、

1:48:52にくる、メンバー揃ってステージ下での待機。

順々に位置について、しゃがんで、暗い中で見える背中がかっこよくて。戦隊モノの出動前だろうかと思うほど、本当にかっこいい映像だった。

見逃すことなんてできない映像が、1分1秒刻み込まれている。ライブ本編にも思ったことだけれど、映像になってくれてよかった。発売されてよかった。ブルーレイにまでなっているから、ずっと待ち続けることができるし、長いこと最高画質で語り継ぐことができる。

 

ツアーが終わってから異例の早さで発売された「十五祭」ライブDVD。

本編はもちろん、メイキングの視点がすごい。ずっと知りたかった、ライブスタッフさんのお仕事。可能なかぎり近くで垣間見ることのできる、貴重で素晴らしいメイキング映像だった。