なにわ男子が歌う「We are 男の子!」

 

一か八か やってみるか

ナミダが出ちゃうよ 男の子だってね!

 

なにわ男子が歌うべくして…!と感動するほど、しっくりくるパフォーマンスだった。

このフレーズを耳にしてすぐに、漫画「アタックNo.1」だ!とひらめいて、“だって…涙が出ちゃう…女の子だもん”に対比する、男の子バージョンの歌がコンセプトなのね!とワクワクした。

ポンポンを振る姿は可愛さの集合体。「ダイヤモンドスマイル」とはまた一味違う魅力が溢れるライブパフォーマンスになっていて、ステージから放たれるエネルギーに目が離せない。

 

原曲はHey! Say! JUMPのシングル「真剣SUN SHINE」のカップリング曲、「We are 男の子!

作詞・作曲は磯崎健史さん

なにわ男子が歌っているのを見て、初めて知った曲だった。Hey! Say! JUMPの曲に、まだ見ぬツボソングがあったとは。

本家はそれぞれにメンバーカラーのタンバリンを持って歌う。お揃いのタンバリンの魅力はなかなかのもので、それを見たらもうタンバリンでいきましょう!となりそうなところを、なにわ男子でのパフォーマンスはポンポンに持ち替えた素晴らしさ。

それに合わせて、振り付けもポンポンが映える動きに置き換わって、顔の近く顔の周りでポンポンを振る動きが多くなっていた。

 

 

さらに、歌割りがすごくいい。すごく、いい。

バク転やっちゃうぜ”と歌う大西流星さんの、短いフレーズにつめ込まれた語感をぱたぱたぱたっと走らせる声が耳に心地いい。

歌割り合わせてカメラもパッパッっと切り替わっていくので、ひとりひとりの顔と声が一致して、それぞれが持つキャラクターが伝わりやすい。

あー デートに誘いたい 何なら今すぐ告りたい

と歌うのは西畑大吾さん。

たくましさというより、どうしたってキュートさが勝ってしまうイメージを持っていたのに、気だるげに甘ーく歌う西畑さんにドキッとした。

えっそんな歌い方もできちゃうんですか…どこにそんな声を隠していらっしゃった…と衝撃を受けた。

Hey! Say! JUMPが歌う原曲でも甘く歌っているはずと予想できるポイントで、しっかりとニュアンスを再現しているところに、リスペクトと丁寧さを感じる。

 

それなら 野郎ども集まれ”で映る大橋和也さんは、「ダイヤモンドスマイル」での空気感から一変して、賑やかな兄ちゃんの雰囲気。笑顔がまぶしい。

カモン 俺んち”を、挑発的にジェスチャー付きで歌う、道枝駿佑さん。ドラマに出ている時の道枝さんの声の印象は等身大でどちらかといえばまだ高いほうと思っていたけど、ここでは低音の太い声質。

歌詞の合間にくる“わー!”のパートで、頼みますと言わんばかりに藤原丈一郎さんがアップで映されて、少しの溜めのあと、見事な表情の豊かさで盛り上がりをつくる藤原さんの素晴らしさ。息を合わせてカメラがバインバイーンと動くのが楽しすぎて、見てると元気が出る。

はじめの方で“君が好きだよ全身全霊”を歌う藤原さんは、肩をちょっと上げてキュートさが満点。

 

いろいろあります 男の子! 考えすぎちゃう年頃です

それでもなんとか 笑顔だけ忘れるな

キラキラ輝く女の子! いつかは君を守れる様に

強く(強く)強く なるから!(Let's go!)

 

いろいろあります 男の子!

このサビがすごく好きで。ひた向きさをひしひしと感じる歌詞にぐっとくる。そうだよね!!と全力で頷きたくなるこの気持ちは、なにわ男子が頑張っている姿を知るようになったから湧いてくるのかもしれない。

盛り上がりと相反して“それでもなんとか 笑顔だけ忘れるな”の部分で特にメロディーが切なげになっているのがとてもいい。

さらにここで注目したいのは、長尾謙杜さん。

笑顔だけ忘れるな”と歌っている時の角度!おしとやかさ!

小さく頷いているところや、肩の落とし方。完璧だった。可愛く見せるためのポイントを徹底して押さえている。感覚なのか、天性なのか。でもほんとは、自分自身をベストな状態で見せられる動きを、1人の時間に研究しているからこその完璧さなのではないかなあと思っている。

 

女の子の心境を歌う曲はいくつもあって、それを好んで聴くことも多かった。相手に直に思いを伝える歌詞よりも、心の中ではおしゃべりで、ガールズトークを繰り広げる様子を描いている曲が多いと思う。

男の子の心境となると、1人で淡々と考え込む様子が描かれやすいイメージ。そこで、ガールズトークと同じテンションで男の子の胸の内を歌う曲もあっていいじゃない!とはっちゃけて歌うのが、「We are 男の子!」

この曲は、ボーイズトークの真骨頂だと思う。

 

なにわ男子が「We are 男の子!」をパフォーマンスをしているステージは、高揚感をあおる魅せ方になっていて、ひとりずつ振り分けられたステージの高い位置で、等間隔に立っている見栄えの良さは完璧だった。

ばちっと決めるカメラ目線に夢中で、すこしマイクから顔を避けすぎてしまうところもご愛嬌。

大サビ直前の“あー!”と声を伸ばすところで、西畑大吾さんが >< の顔文字そのままな弾ける表情を見せる。あまりのキュートさに固まってしまった。突き抜ける声が爽快。 

 

曲中に「JUMP!」と合いの手が入るところが、なにわ男子では「男子!」になっていて、

それはなにわ男子が歌っているからなのか、男の子の心境を歌っているからなのか。なんならどっちも!ってことにしてもいい気がするくらいのぴったり感。

“男子!”なんて言葉の音を耳にしたのはいつぶりだろう。夢のままに終わったと思っていたキラキラのスクールライフを、ふわっと疑似体験できた気分になった。

 

曲のラストに振り付けを揃えるところで、きっと振り覚えの時に生まれたのであろうリズムに合わせた言葉遊びでメンバーそれぞれ楽しそうにしていて、それを見て関ジャニ∞のダンスリハーサルの光景を思い出した。

それぞれのグループにこの空気感はあるんだなあと思いながら、そういうノリには付いてこなさそうなイメージがあった高橋恭平さんが、“よいしょ よいしょ”と口ずさんでいるのを見つけて、一緒にやってるー!と予想外な可愛らしさを垣間見た。

 

 

なにわ男子に、さらには関西ジャニーズJr.全体に関心が湧いている。

どんなことをしているかわからない、という印象が変わりはじめたのは、横山裕さんと大倉忠義さんが関わるようになったことが大きい。魅せ方とプロデュースが簡潔に伝わりやすくなった。

2019年に開催された、関西ジャニーズJr.のライブのオープニング映像がとても魅力的で、歩いている藤原丈一郎さんに大橋和也さんが駆け寄り、ぴょんっとおんぶされたのを見た瞬間に、自分のなかで何かが弾けた。

 

ジャニーズJr.にとって、ひとつのステージで披露できる曲数は限られていて、歌いたい!観せたい!と考える曲はいくつもあるはずで、

その中から、トップに目立った曲ではなくてカップリングの「We are 男の子!」が選ばれた。

誰の選曲なのか、ことの真相はわからないけど、タイミングと、需要を考えた上でのセンスが最高なことはよくわかる。

道枝駿佑さんの猛プッシュでこの曲に決まったと知りました。ナイスセンス…!)

曲として盛り上がりの構成がしっかりと確立されている「We are 男の子!」と、なにわ男子の成長真っ最中な魅力。その2つが、奇跡の相性を作り出していた。