ピーナッツサンドとソフトクリーム

 

部屋にこもりがちな休日が多かった

好きなお菓子を前の日に買ってから帰って、よし、もう一歩も外へは出ないぞと頭の中でセルフバリケードを積み立てる。

何度も見たやすともさんの「どこいこ!?」をまた再生したり、意を決して買い直したどうぶつの森でぽちぽち遊んだりする。

それはそれで楽しくて、落ち着ける時間ではあるけど、そろそろ外に出る予定をつくりたくなった。

 

長いことオールブラックのスニーカーを探していた。

やすともさんのどこいこ!?を見ていたら、やすよさんが買っていたスニーカーにぴんときて、今なら間に合うかもと店頭取り寄せをすることに。

そのスニーカーが、届きましたと連絡があった。

 

スニーカーを受け取るついでに、その場で履き替えて、電車に乗って何駅かのお出掛けをしよう。思いつきで家を出た。

スニーカーのサイズはぴったり。ボディも紐もブラック。でも靴底がホワイトで、このワンポイントが、なんていうかマイケルジャクソンのホワイトソックスみたいな効果で足元のバランスを綺麗に見せてくれて、すごくいい。

ワンピースにも合わせたいと思っていたから、カジュアルだけじゃない理想のスニーカーを見つけられた。

 

 

軽くなって履き心地がいい足元で、電車に乗った。

窓の外に見える景色が久々で楽しい。

イヤホンから聴こえる音楽はNissyのベストアルバム。「トリコ」を聴いたあとは「恋す肌」夏のメロディーが合う季節になってきたなと実感が湧く。

 

電車に乗って出掛けることにしたのは、菊池亜希子さんの本が買いたかったから。

「みちくさ」という本で、菊池亜希子さんの手描きのイラストで行った先々のおすすめどころを紹介してくれている。文章のゆったりさが心地よく、写真の色合い、着ている服。どれもが好きな本だった。

当てにしていたお店に着いて見てみると、売り場の配置が変わっていて、本はもう無かった。

 

いくつかの本屋さんも見てみたけど、在庫は無い様子。それならそれでと、喫茶店のようで好きなヴェローチェでひと息つくことにした。

オーレフロートというカフェオレにソフトクリームの乗った最高な飲みものを見つけて、それとピーナッツサンドを注文。

たっぷりすぎやしないだろうかとドキドキしてくるピーナッツサンドは、ソフトクリームのなくなった甘くないカフェオレにぴったりで、こってりな甘さを流し込んでくれた。

 

 

ささやかにお茶をしただけだけど、思った以上に満足だった。

そういえば、学生さんたちが下校する前の時間帯、通りがかったタピオカ屋さんは空いていて、プリクラコーナーは人っ子ひとり居なかった。タピオカは我慢したけど、プリクラはなんだか今ならしれっと撮れる気がすると、出どころ不明な勇気が湧いて、ひとりで撮った。

相変わらず容赦ないエフェクト。涙袋は勝手にキラキラで、チークもリップもお手のもの。

輪郭をシュッとさせるため、指がおかしな伸び方をする時空の歪み。

でも楽しい。写ってる、自分が写ってるなあと認識する不思議さ。人と接しない日が続くと、自分が存在しているのか疑わしく思えてくる。写真を撮るのが好きでも、撮ってもらうことはあまりない。

だからたまに、こうして写る自分を見るとおもしろい。

 

新しいスニーカーを履いた、電車に乗った、

ソフトクリームも、ピーナッツサンドも美味しかった。

それだけ。でも、楽しかった。