King & Princeの声がいい

 

King & Prince(キング アンド プリンス)のファーストシングル「シンデレラガール

キラッキラと輝いて、ロイヤル感溢れる高貴な衣装。その姿を見れば、コンセプトがわかる。

白を基調とした紳士なスーツ。さらに、メンバーカラーの「サッシュ(リボン)」を斜めに掛けていて、このワンポイントが高級感を高めていて、すごく好きだった。

スペシャル”という言葉がしっくりくるデビューシングル。

 

グループ名の通り、貴族、王子のイメージをどどんと表現したことで、次にリリースする曲のテイスト選びが難しいのでは…と勝手に気にしていたセカンドシングル。

Memorial」は、「シンデレラガール」でのきらびやかな魅力をそのままに、

永遠を誓おう 君を守り続けるよ

と、なんと早速プロポーズソングとも取れる歌詞で攻めてきたことに驚いた。

嵐で例えるとするなら「One Love」のような、ファンの子たちが結婚式で流すことを憧れるテイストの曲を、もうここで出してくるのかという驚きだった。

ある意味でおとぎばなしの世界に入り込める魔法をかけた「シンデレラガール」から、等身大の男の子をアピールするという選択肢もあったと思うけれど、もう一歩踏み込み、永遠を誓う世界観を魅せることで、King & Princeの身にまとう空気は決定的なものになったのだと思う。

しかし、King & Princeの魅力はキラキラとした物語の要素だけではないことを、カップリング曲の「High On Love!」が表現している。

オラオラとまではいかないものの、男の子感のあるこの曲は、ゴージャスなメロディーが印象に残る「シンデレラガール」「Memorial」とは対照的に、リズミカルに進む曲調がカジュアルでいい。

歌番組でのパフォーマンスも含めて、この曲も好きになった。

 

 

そしてやってきたサードシングル。

3枚目になる今回は、バラードか。ポップスか。気にせずにはいられない存在になっているからこそ、グループとしてのイメージや空気感をどう積み上げていくのか気になっていた。

君を待ってる

サードシングルの内容を知ったのは、意外にも高橋優さんのほうからの情報で、作詞をなんと高橋優さんが担当するとのことだった。

“好き”と“好き”の二乗のような計算式にときめかないはずがなく、リアルを書き出す高橋優さんの言葉で、ファンタジーとも言えるKing & Princeの世界観が合わさると、どんな作品を生み出すのだろうとワクワクした。

 

曲の初解禁を聴いたのは、ラジオ「大倉くんと高橋くん」の放送。

歌詞に注目して聴くと確かにわかる、高橋優さんの色があって、それが嬉しかった。主人公の目線で世界を見渡しているような情景描写。

10年後になる前に、今変えられる未来に気づかせてくれる歌になっている。

後々になって、ああ、あの時に…と思う前に、今ならもっともっと間に合うのだと伝えてくれる優しさにぐっときた。

いつの日か じゃないよ  今ここからさ

一度否定形を置いて、肯定で背中を押す言葉。

そこに高橋優さんらしさを感じた。King & Princeのメンバーがその声で歌うことで、拓けていく景色と、期待に胸おどる心模様が思い浮かぶ。

作詞は高橋優さん。作曲と編曲は別の方が担当している。

高橋優さんのカラーがありつつ、そのカラー1色に染まらないのは、作曲は作曲で担当している方がいて、さらに編曲という部分で曲の方向性を形作るそれぞれの役割があるからこそだと思う。

 

特に今回、「君を待ってる」を聴いていて、高橋優さんの確固とした個性とKing & Princeの個性が美しく合わさったのは、“編曲”というお仕事の素晴らしさがあるのではと思った。

曲のイメージを大きく左右することのある編曲という部分で、語るように歌うパートの落ち着いたテンポと音の引き算、サビに入った時の青空が拓けていく音の広がりが素晴らしいバランスで作られている。

らしくないと感じるような違和感はそこに無く、地に足の着いた表情とこれからを肯定して背中を押していく表情のどちらもを見ることができる曲が「君を待ってる」だった。

 

ミュージックステーションでのパフォーマンスがとても素敵で、何度も繰り返し見ている。

歌う数分間に全力を注ぎ、届け!と思いながら見せるパフォーマンスは、たとえテレビの画面越しであっても伝わってくる。

King & Princeのメンバーそれぞれの、歌声の魅力をあらためて感じた時間でもあった。

 

King & Princeを見ていて、強い。と思うのは、それぞれにビブラートが上手いところ。自然な間合いで、歌声に混ぜることができるところに感動する。

「シンデレラガール」の時にも、平野紫耀さんが綺麗にビブラートをかけていたパートがあって、CD音源よりもその歌い方が好きだと感じるくらいに、魅力を増す表現になっていた。

緊張して喉に力が入ると、ビブラートをだすのは難しい。だからこそ、生放送のパフォーマンスでそれが出せることは強い。

どのメンバーも歌が上手で、声の響かせ方を掴んでいるという点はもちろん、それぞれに色があって、バランスが完璧なグループだと感じた。

 

 

岸 優太さん(きし ゆうた さん)の声は、

聞き取りやすく軽やか。

そして高めの声がかすれ気味になると色っぽさを増して、大人の雰囲気をつくる。

23時間近の 賑わう街並みに

という「シンデレラガール」での岸優太さんのパートが大多数の人のツボを押さえたように、音感の勘の良さなのか、心地いい声でリズムを的確に掴み、伸びやかに歌う。

 

神宮寺 勇太さん(じんぐうじ ゆうた さん)の声は、

青空を突き抜けていくように音が上へと通って、歌に爽やかな風を吹かせる。

ミュージックステーションで「君を待ってる」を歌った時の、“人と人の間にあるらしい”の堂々とした声の突き抜け具合と、“い”の音での思い切りのいいビブラートがスカッと決まったところが最高に良かった。

 

永瀬 廉さん(ながせ れん さん)の声は、

低音がよく響いて、少しこもるような音感がユニゾンで歌った時に丸みを待たせる効果を発揮する。

平野紫耀さんと共に関西Jr.として活動していた頃もあってか、関西弁を話す人に感じる発声の名残りがあるように聞こえて、それがまた魅力。

声とは関係ない話をすると、「High On Love」でダボっとめの上着を着ている姿を見て、これをバランスよく着こなせる人はなかなか居ないと感動して、今回「君を待ってる」でまたダボっとめの衣装を着ていたのを見て、誰にどの形が似合うかをわかった上で衣装を決めている方がいる…と、King & Princeのとことんなプロデュースに息を飲んだ。

 

平野 紫耀さん(ひらの しょう さん)の声は、

“THE 男の子”なニュアンスを生み出す点で大切なキーポイント。

ハスキーな声でありながら、ビブラートを効かせた時の透きと通った儚さは唯一無二。

歌詞の世界の中で主人公になれる声であり、けれど平野紫耀さんの声がシンプルなイケボと呼ばれるものとは違うことが、King & Princeが“綺麗”だけで終わらない特色を生み出している。

 

髙橋 海人さん(たかはし かいと さん)の声は、

King & Princeの歌をキラキラさせるピクシーダストのような役割を担っている。

声に含まれたある種の幼さが、無邪気な少年のニュアンスを生んでいて、耳にすっと届く音の真っ直ぐさも魅力。King & Princeの雰囲気をつくる上で大切な声だと感じている。

どのメンバーの声も耳に心地よくて、選ぶなんて難しいけど、髙橋海人さんの声が特に好きだと思った。

 

岩橋 玄樹さん(いわはし げんき さん)の声は、

甘いお砂糖のよう。

King & Princeのコンセプトに姫の存在が自然と思い浮かぶのは、歌声という立ち位置でもピンクというメンバーカラーがしっくりくる声の甘さがあるからだと思う。

穏やかさもありながら、男の子の持つ勇ましさがどこかに漂う。King & Princeに持っている、花のイメージは岩橋玄樹さんの存在が大きい。

 

6人の声がユニゾンでぎゅっと1つになったとき、King & Princeならではの音が生まれる。

個々に聴いてもいい声が、さらにいい声にパワーアップしていく。かき消すのではなく、活かし合って響く歌声に、耳がときめく。

 

 

King & Princeが気になる。

華やかなデビュー、大ヒットしたデビュー曲。だからこそ、立ち向かうものはきっと多い。

最初にKing & Princeという名前にちなんだコンセプトが明確にアピールできたことは魅力で、それを成立させるクオリティが彼らにはある。その分、見ている側が持つイメージと、これからの進展のバランスの取り方は繊細でもあり、可能性を秘めている。

次はどんな曲を歌うのだろうと気になって、歌番組で、届け!とその時できる全力をぶつける姿を見ると、引き込まれる。

若さのあるグループを見ていると時折、ヒリヒリとする気持ちになったり、こなしているように見えて居たたまれなかったりするけど、King & Princeは気づくと目で追っている。

 

一生懸命が伝わる、と言うと言葉は簡単になってしまうけど、いまのKing & Princeがかっこいい。

3枚目、4枚目を重ねていって、どんなアルバムができるのか。どんなライブを作るのか。

その魅力的でカラフルな歌声で、これからどんな景色を描くのだろうとワクワクに胸がおどる。