「宛名のないファンレター」をロゴにしてもらいました

 

お手紙のような名刺を作りたい。

文字の魅力が活きた名刺を、いつか。そう思っていたけど、今の自分では持っていても宝の持ち腐れなのではとためらっていた。

いや、やっぱり作ろうと思い立ったのは、都内へチョコレート探しの旅に出た時のこと。文章を書いていることをお話しできて、読みにいきますとまで言ってもらえたのに、あっ名刺を持ってない…と気づいた時。

ブログの名前を伝えても、それを記憶してもらうことは相手にとって手間になるのだとわかって、ああこういう場面で名刺は必要になるのかとわかった。

 

名刺を作るなら、決めていたことがあった。

一つは、活版印刷で作る

もう一つは、ロゴを作ってもらう

活版印刷のあてはなかったけど、ロゴになる文字のデザインを頼みたい方はもう決まっていた。一年前にネット上で作品を見かけて、万年筆で小説のタイトルや曲名を書いていたその手書き文字に心惹かれた。まだその頃は何のアイデアもなかったけど、いつかお願いできるきっかけがあったらと頭の中の棚にそっと置いていた。

 

ロゴをデザインしてくださったのは、峰崎まめこさん。

万年筆を使いこなすのは難しいはずなのに、峰崎まめこさんの字はスルスルと自由に線を描いて、手書き文字の温かみと、ロゴとしての見栄え。どちらもが理想的なバランスで成立している。

魅力は見てもらえたら伝わるはずなので、ぜひツイッターに見に行ってほしい。

 

作品を見て以来、いつの日かお願いできたらと思っていたその引き出しを今こそ開けるべき時だと思って、

受けていただけるか確証はなかったけれど、勇気を振り絞って連絡させていただいたところ、お受けしてくださることになり。

文章を書くことへの思いも、「宛名のないファンレター」というタイトルへ込めた気持ちも、好きなものや曲まであれこれ、こんなにいらないってと言われそうなほど、手掛かりになりそうなキーワードを伝えて、そうして完成した作品。

 

峰崎まめこさんに希望を伝える際、この作品がとくに好きですと話した中から、曲線のあるものが好きそうだと気づいてくださって、いくつかの案にそうしたデザインも含めてくれていた。

手書き文字がよかったのは、名刺を作るにあたってゴシック体や元からあるフォントにどうにも納得できなくて、手書きの質感がほしいけど自分の書く字では“普段通り”すぎると思ったからだった。

ああいうのがいいこういうのがいいと言うのはかんたんで、私の頭の中を見せられたら、互いに緊張すること無くいられるのにと思ったりもしたけど、思いを託して、なにが出来上がるかわからない可能性でいっぱいなこの時間が好きで。

だからこれを作れるのすごい!と感動したら、自分にできないことをできる相手に「すごい!」を伝えたい。依頼をするなんて恐れ多いと思う気持ちもあるけれど、それが叶うならと思い描かずにはいられなかった。

 

そうして、作っていただいた作品がこちら。

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これ!と思った。

自分の頭の中では到底産み出せなかった、この言葉の魅力が表現されていて、大好きになった。

漢字とひらがな、カタカナが入っている文字の並びはバランスと取るのが難しく、形にしずらいはずだけれど、それを美しく描いてくれていて嬉しかった。“ター”の終わりが横棒だけではなくて、“…”で終わるところが、言いたいことに余韻が漂う感じがして好きになった。

そして紙飛行機を見た瞬間に、そっか紙飛行機!と気づく感覚。上昇気流に乗って行きそうな紙飛行機と、ぽっと残された点にある余白が素敵で。すぅーっと線を描いて飛んでいく姿に思いが乗ってる気がして、ふと「青春のすべて」で安田章大さんが窓から飛ばした紙飛行機が思い浮かんだ。

手紙というコンセプトも、届けたい思いも、空気感がこ表現してもらったような。あんなふうにそっと飛ばした手紙が、届いたなら。

 

こんなに素敵なロゴを作ってもらって、お願いできて本当によかった。

「宛名のないファンレター」というタイトルに、こんなに思い入れができるとは思わなかった。アイコンも、タイトルも、憧れの人に作ってもらうことが叶い、ひとつひとつが大切なものになっていく実感があって、それがうれしい。

 

 

届くかわからない相手へ

どこへ届けたらいいかわからない相手へ

ファンレターの宛先がないとしても伝えたい思いがあるから、タイトルは「宛名のないファンレター」

 

ロゴを受けとって、ここから名刺作り。

未知のことに広がる景色を感じながら、進展していく一歩一歩に高まる気分をいま、楽しんでいる。