関ジャニ∞「ジャム」メイキングの魅力

 

今回のライブDVDのメイキングは特に楽しかった。

オープニングタイトルが出るところでテンションが上がる。静かにじっくり見るところと曲に合わせてテンポよく進むところとのバランスがちょうど良かった。

メンバーのやり取りや空気感を静かに見ていられる時間の緩急があると、ふとした時間に流して見たくなる。「ノスタルジア」のリハでの錦戸亮さんのスッとしたターンの美しさにはドキッとした。

 

いつもメイキングを見るたび、メイキング構成の難しさを感じる。だからすごいなぁと思う。ナレーションを入れずに、映像の繋ぎ合わせで視覚的に状況を伝える。

リハーサル風景、ダンスの振り練習、ライブ当日と時系列が行ったり来たりしながら、バラつきすぎず、でもバラエティ豊かに。それも7人分。ファンへのサプライズと制作の意図を届ける、その構成の組み立て方は文章の組み立て方とも近いものがあると感じた。

 

今回のライブ「ジャム」のプロデュースは大倉忠義さんだったとメイキングを見てわかって、びっくりだった。

毎回なのかはわからないけれど、その年ごとにメンバーがプロデュースしていると知った時から、今回のライブは誰っぽいだろうと予測するのも楽しくて、「ジャム」はなんとなく挨拶や最後の並びから考えて丸山隆平さんなのではと思っていた。

誰っぽいかがわからないというのは、ライブとして個性ひとつだけが色濃く出過ぎることなく、バランスが保たれていることの現れのような気がして、予測を外したことが嬉しくもあって、メイキングで答え合わせをできたのが楽しかった。

 

ツアー全体を通しての移行を後から知ることができるのも、メイキングの魅力だと思う。

「Answer」が名古屋から揃いの衣装になった経緯を知られたこと、大阪まで「DO NA I」の衣装もピンクとオレンジだったことを知られたのも発見だった。どうしてそれが変更になったのか、変わったことによってどんなふうに全体の見え方が変わったのかを見られるのは、DVDだからこそだなと思う。

 

楽屋風景が多かったのも嬉しくて、ただただゆるーい部屋の空気を聞いているような時間が見ていて心地よかった。ドローンを飛ばして自由な様子や、収拾つかないハンドシェイクはシュールで面白い。コーヒー豆からコーヒーを入れてもらう丸山さんの可愛さに癒された。

 

メイキングはDVD盤に収録されているけれど、本編のエンドロールにもメイキング映像があり、そのエンドロールも毎回凝っていて見入ってしまう。

DVD盤とブルーレイ盤で映像が違うのも驚きで、メイキング映像のつかないブルーレイ盤のエンドロールは、その短時間のなかでライブがどう作られていったのかを伝えられるように工夫されていて、これを見ると大倉さんがリハを確認して話し合いをしている様子も見られる。

膨大な素材の中から、よく起承転結を作ってまとめることが出来るなと感動する。本編ラストの銀テープトークに掛けるかのように、銀テープに始まり銀テープに終わる洒落の効き方もいいなと思う。煽るのではなく、思い出の一つになるものとして、その気持ちに寄り添うテーマの扱い方だったところも素敵だと思った。

 

今回のメイキングは渋谷すばるさんの話す言葉がとても印象に残って、頭の中で思っていることやライブでの考えを自分の言葉でこうして届くように話してくれるようになったことにも変化を感じた。

本人が本人の口で発した言葉を反復して文字で書いてしまうと、それこそが野暮で違うものへと変えてしまうことになる気がするけれど、ひとつどうしても心に優しく刺さったところがあった。

「ライブ中がなんか平和やなって思う」と話す、渋谷さん。ライブという場が渋谷さんにとって、メンバーにとって、居て楽しい場になっているなら本当によかったと何だかどんな目線かわからないけれど安心した。

「俺らも一緒やから」と言った渋谷さんの言葉に、理屈ではない感覚での浸透力を感じて、実際にそれを感じて、思っている言葉としての温度があった。

 

ライブの時間の中にずっと居られたらと思うけど、そんなことは無理だから、またこの場所に来るためがんばる。それはお客さんだけの気持ちではないんだと思った。

村上信五さんが時折ライブのことを「待ち合わせの約束」と表現することがあるけれど、自分にとってライブはまさにそのもので、でもその待ち合わせは後ろにはない気がして、大きくても小さくても、自分なりの時間を進んだ先にあると感じている。

自分にとっては、関ジャニ∞が待っている待ち合わせ場所は後ろにはないから、だから前に進んでおかなくちゃと駆り立てられる。気を抜いたら振り落とされそうな勢いで進んで行く関ジャニ∞だから、自分も置いて行かれたくないとたまに半べそかきそうになりながら進んでいけているのだと思う。

メイキングの“0:57:01”のタイミングでの渋谷さんの表情が、はっとするほど繊細で、思わず息を飲んだ。言葉なくとも、ライブの空間でこんな表情をする渋谷さんを見たらすべて伝わってくると思った。

 

大倉さんと渋谷さんの笑い声でメイキングは終わる。話していたさっきの続きで照れ笑いしたのであろう渋谷さんのふふふって声。表情が思い浮かぶようで、1時間ほどのメイキングの最後に静かに話しに聞き入って、すうっと終わっていく締めくくりもよかった。

完成したライブを観る楽しさがあって、メイキングのおもしろさがある。観て来たステージがどんなふうに作られてきたのかを見せてもらえることは、ライブが終わってからのプラスアルファの楽しさになると、あらためて実感した。