Hey!Say!JUMP「White Love」9人だからこそのフォーメーション、振り付けの魅力

 

Hey!Say!JUMPの新曲「White Love」が堪らなく好きだ。

White Love」に感じるのは、120%の幸福感。映画館の予告で流れてきた時に、この曲好きだなと感じたのが最初の印象だった。映像とセリフの後ろで微かに聴こえるメロディーだけで、惹かれるものがあった。

 

ひたすらに甘いラブソングに時折胸を打たれるのはなぜなのか。あまりにマイワールドなラブソングに全く心が動かないこともあれば、毎朝起きてすぐに再生するほど好きになる曲もある。

White Love」もまさに甘い言葉のオンパレードなのだけど、それが爽やかで軽やか。そうした印象を持つのは、歌詞の言葉選びとHey!Say!JUMPだからこそ見せられるダンスの振り付けに鍵があると思う。

 

Hey!Say!JUMPはメンバーが9人で、ジャニーズのグループの中でも人数が多め。

その特徴を「White Love」では存分に活かしていたところに感動した。人数が多いと視点が散らばりがちなところを、巧みなフォーメーションダンスで見事に視線を誘導していて、視線が迷子にならずに、どこに注目するといいのかがわかる。

 

歌の始まり、山田悠介さんと知念侑李さんが歩きながらすれ違い立ち止まるところがとても好きで、知念さんの伏し目がちな視線の落とし方は特に美しいなと思いながら見惚れる。

2人が通り過ぎると、見えてくるのは中島裕翔さん。中島さんが中央に立つフォーメーションになるとふわっと空気は変化して、開けていく印象になる。手で蕾を作り花開く様子を見せる振り付けが綺麗で、手の動きだけでなく足のステップも含めてシルエットが美しい。

中島さんが歌う、“心に咲いた花を”というフレーズも“を”の一音の中で音程が移り変わっていて、このメロディーラインが素敵だと思った。続く“優しさで育ててゆこう”の歌詞での知念さんの手の振り付けも、指先まで神経を意識している繊細な動きで、手の振りひとつであっても丁寧に魅せる姿がカッコいいと思った。

 

たったひとつだけ 願いが叶うのならば 君が欲しいよ 

最初で最後の恋を始めようよLady

ただ一人だけ 愛する人に捧ぐよ 想いを込めて

 

“たったひとつだけ”というサビのフレーズに入る直前に、9人が一気に中心へと集まる。センターには山田さんが立ち、そのサビのフレーズと同時に放射状に前進して広がる動きは、この曲の見せ場だと思う。息を合わせて見せるこの動きは、9人いるからこそできるフォーメーション。バタバタとすることなく、軽やかなその動きは簡単にできるものではないと思う。

直前までスタンバイをする素振りを見せずに、さっきまで別の振りをしていたところからスッと形をつくって、フワッと広がる動きは、映像加工やカメラ効果を使わずに、人の動きだけでつくりだす躍動感という感じがして、見るたびに感動する。

 

サビの盛り上がりにぴったりと合ったその振り付けから、5人と4人に分かれ、直線に並びステップを踏みながら、時計の針のように斜め一列のラインをつくる。一本の線になったところで、奥から順に指を差して歩いていく。

この振り付けも、息つく暇なくさらっとやってのけてしまうけれど、美しく計算されたフォーメーションとステップに心動かされずにはいられない。

嵐の「愛を叫べ」を見た時にも感じたけれど、タイミングをずらして振りをするのは難しい。合わせることはできても、わずかにタイミングをずらして、自分の決められたタイミングを見計らいながら踊るというのは、音を聴いていてもこんがらがるのではと思う。

9人でその振り付けをするとなると、一人がずれるとそのずれはどんどん大きくなってしまう。最初のタイミングもきっとプレッシャーがあるはずで、よくこのタイミングを逃さずに入れるな…といつも驚く。

 

そして大サビに入ると、メンバーは再び中心に集まり、山田さんをセンターにして顔を外に向けつつ、手のひらで蕾をつくる。

“ただひとつだけ 願いが叶うのならば”と歌う山田さんの歌声に合わせるように、その蕾がひとつひとつ花開いていく様子は、まるでバラの園のなかに山田さんが立っているみたいで、こんなにも風景の思い浮かぶ振り付けがあるのかと目を奪われた。

常に個を主張するのではなくて、時に裏側に徹することで魅せることのできる美しさがあると「White Love」の振り付けから感じた。

 

山田さんの後に知念さんがセンターに入って、“最初で最後の恋を始めようよ Lady”というフレーズを知念さんが歌う。ここで、“Lady”と言いながら手招きをする知念さんのカメラアピールが素晴らしくて、見ていて思わず笑顔になってしまう。

そして最後の最後にある、指を差し出す振りをしながらのステップ移動。くるくると回るメリーゴーランドみたいで、その華やかさと温かさにうるっとくる。曲に合わせて小さなステップで時間内に移動し終えることも至難の技だと思う。

 

 

これまで自分は、あまり人数の多いダンスやフォーメーションが特徴のダンスに心惹かれることはなかったけれど、目で見て美しいというのはこういうことかと感じられたのが「White Love」だった。

そうしたダンスの美しさと、シンプルで真っ直ぐに表現された言葉に心を掴まれて、何度も何度も見たくなる。

こんなにストレートなラブソングをしっかりと歌ってくれるなんて、素敵だ。照れつつ歌われるラブソングは、あまり心にグッとこないけど、真正面から歌うラブソングはエンターテイメントとして成立する。アイドルだからこそ見せることのできる、甘いラブソングがこれからも増えていってくれたらいいなと思う。