京都駅のはなし

 

広くて、天井を見上げると三角がいっぱいで、電車が入るホームはどこか外国みたいな雰囲気がして、わくわくした。見たことのない場所、見たことのない景色の中に私は居るんだと嬉しかった。

 

大阪、京都を初めて旅した2016年。一人きり降り立ったその駅は、なんだか外国へ来たような不思議な景色だった。

京都駅はとにかく壮大だった。私にとっては、東京駅や新宿駅よりも難解で、一度迷えばもう同じ場所に戻ってこられないような心細さがあった。グレーを基調にした駅の中は洗練されたデザインで、綺麗な駅だなぁと感動したのを覚えてる。

三角がいっぱいで、天井の線と線が三角になっているその景色をぼーっと見ているとドキドキした。

 

外に出て、振り返って京都駅を眺めた。

ああ本当に来たんだな、来られたんだなと思いながら、“京都駅”と書かれた大きな文字を眺めた。外観も、三角形があった。三角好きの自分には堪らないなと思いながら、後ろに振り向くと大好きな京都タワーが見えた。タワーのなかで一番可愛い、一番大好きと思っている京都タワー。こんなにすぐに見られるんだ!と思った。

一人で旅した初めての京都は、ちゃんとここに戻って来られるかなと緊張しながらの旅だった。夕方、新幹線の時間に合わせてバスに乗り、このバスに乗れば京都駅に着くはず…時間にもきっと間に合うとそわそわ考えて、バスの窓から京都駅が見えてきて、朝来た場所に戻って来られた…とホッとした時の気持ちは多分忘れないだろうなと思う。ほんとは相当心細くて、内心半泣きだったことも、覚えてる。

大きい大きい駅のなか、一人歩くことも緊張するくらいに広いホーム。お手洗いを探すのも一苦労だったりして。電光掲示板を見ても、どれが自分の乗りたい電車か見分けられない。合ってるかな…と思いながら階段を上り下りして、たどり着いたホームで電車に乗って、新大阪駅へと帰って行った。

 

2017年 1月、二度目の京都駅。

二度目の京都駅は、また違う景色に見えた。前より少し、知っている景色の多い京都駅。改札を出て、この景色を右に曲がったら階段があって、それを降りて外に出ると、京都タワーが見える。

今年の京都タワーには、雪が降っていた。

 

 

またここに戻って来たい。そう思いながら、京都駅をあとにした。

好きな場所があるのってうれしい。行こうと思えば行ける距離にある場所もいいけど、少し距離があって、今度いつ来られるかはわからないけど、それでもまた来たいと思えて、あの時に見た景色を時々思い返すことができる。

帰りたい。そう感じる場所は、生まれ育った土地でなくてもいいなと思えたことが嬉しくて。地元とか、そういうもの自分にはないなと思っていたけど、大人になってからだって、そういうものはできていくと思えた。そこに心惹かれるものがあるなら、故郷ではないとしても、ふるさとのようなものになるかもしれないなと思う。

また来たい、が簡単ではないから時々切なくなるけど、ふとそんなことを思った。

 

雪がすこしかかった嵐山も、おいしかったお団子も、静かだった庭園も。全部楽しかったけど、京都駅の景色は特別だった。

不思議だけど、ドキドキするけど、懐かしくて安心する。

私にとっての、京都駅のはなし。