【後編】沸き起こる手拍子、上がる歓声。-関ジャニ's エイターテインメント「ジャム」

 

今回のライブは衣装が揃いの色という印象で、それが意外だった。

これまではどちらかというと、「TAKOYAKI in my hart」みたいにそれぞれメンバーカラーで、原色に近いというイメージだったけれど、今回は「JAM LADY」から全員ピンクかパープルの衣装。「ノスタルジア」後の「Sorry Sorry love」から揃いのグリーンの衣装になったりと、個々というより7人揃ったグループとしてのダンスを見せる衣装になっていたように感じた。

 

中盤、流れたインター映像がいつもの感じとは違っていた。いつもなら、ストーリーやエイトレンジャーなど次の演出に繋がる映像が流れていた場所で、開演5分前と似た映像が流れ始める。

なにが起こったか分からず、間違い?そんなことはないよなと混乱していると、先ほどは「うちわを一旦置いて楽しもう」と説明していた箇所になったところで、「バンドは動きが少ないと思っているそこのあなた!お待たせしました!今から縦横無尽にメンバーが動き回りますので、うちわを持ってお楽しみ下さい!」というアナウンス。

関ジャニ∞が好きな中でも、バンド派、ダンス派と好みが分かれていたりもすることを逆手にとって腹を割ったおもしろい演出だと、思わず笑ってしまった。こんなにざっくばらんなのはすごいなと、あらためて関ジャニ∞の度量の大きさとファンの心中を察するリサーチ能力に驚いた。

 

渋谷すばるさん、横山裕さん、村上信五さん、3人でのユニット「Answer」

期待でいっぱいだったの指パッチンは想像以上に美しかった。一瞬のことだけど、それをずっと目に焼き付けていたかった。パッチンというよりもスチャッという音が相応しい、大人の指パッチンだった。

ラストのポーズ、3人とも音に合わせて右手を挙げ、片足を片足の踵に合わせてクロスさせる形のポーズが息を飲むほど綺麗で、落ちる照明のなか見えるそのシルエットは、紛れもなくジャニーズでアイドルだった。

そして後ろに映る映像が、3人の10代の頃の写真というところが最高だなと思った。初めて観る人でも、この映像と一緒に観ることで、3人の関係性やここまできた意味を感じられるのではないかなということも含め、素敵な演出だった。

 

その後に続く、丸山隆平さん、錦戸亮さん、安田章大さん、大倉忠義さんのユニット「ノスタルジア

いつの時代でもないようなどこか異国の空気を感じて、でも懐かしさのあるメロディーとコンテンポラリーの要素があるダンスに見惚れた。

動き‪の角度ひとつが意味を持つように見えて、4人が縦に並び、両腕に角度をつける振りは時計の針をイメージしていたりするのだろうか‬と考えたりした。

それぞれに離れた場所から登場してステージが動き、中央に集まる流れが美しくて、移動しているというよりも引き寄せられているように見えるほどだった。

 

そしてアルバム曲のなかで変わらずどうしようもなく好きな「DO NA I」

生で見る「DO NA I」の威力たるや。しかもピンクかパープルのジャケット衣装で。「十祭」でのピンクと水色衣装が断トツに好きな自分としてはたまらない組み合わせだった。

ダンスも勿論、なにより感動したのはCDよりも魅力的な7人のボーカルだった。丸山さんのがなりを生で聴けたことが嬉しくて、耳が終始嬉しかった。関ジャムでも感じた通り、村上さんの“ほら いい顔してる”は生で聴いても最高で、あの息の抜き方はどうやるんだと思うほどに色っぽかった。

好きな曲に対する贔屓目かもしれないけど、もし出来たら「DO NA I」のグルーヴィーなジャズやスカの雰囲気に浸る流れがあるともっといいなとも思った。例えば前回のアルバムでセットリスト入りを果たせなかった「ナイナイアイラブユー」をここで活かし、7本のスタンドマイクに白い手袋で、ダンスは手の動きに集中させて“静”の印象をつくり、その後に「DO NA I」を置いて粋なフォーメーションダンスで“動”を見せる。曲前にメンバーが手袋を外す動作をカメラで抜いたらイチコロなのではと想像してしまう。

 

まさに不意打ち「WASABI」だった、「WASABI」のセットリスト入りも驚きで、「ナントカナルサ」や「キングオブ男!」もあることから、なんだか「元気が出るLIVE!!」の再公演を見られているような気にもなって、さびしい心残りのままではなく、楽しい思い出で塗り替えることができて、それがDVDに残るのは良かったなとほっとした。

そこからの「えげつない」は、ドームの盛り上がりがすごかった。サビにきて、いきなりの全力ダンスに上がる歓声が凄まじかった。渋谷さんの“ここまで風来るくらい扇いでみい”をドームで聴けたのも嬉しかった。

ラップバトルの演出はどうするのかと思っていたら、あえてそれぞれ離れたところにスタンバイをして、中央ステージに立っている村上さんの所へ対戦者同士がそれぞれトロッコでスーッと集まるという仕組み。

ただステージに2人立たせるよりも対戦感があって、それを煽るオーディエンスと化すファンの適応力の早さも凄かった。中央ステージには黒いソファー席が2つ設けられ、対戦が終わったメンバーが座ってさらに煽っているのも良かった。

 

今回、必ず聴きたいと楽しみにしていた曲「今」は、まさかのラストの一曲だった。

まだかな、まだかなと思っていて、まさかアップテンポで盛り上がりがありそうな「今」をラストに持ってくるとは思っていなかった。ライブのセットリストを予想した時も、オープニングかなという予測しか出来ず、予想外だった。

最高の曲順だったのだけど、一つ気にかかったのは衣装のことで、「Never Say Never」からの流れで着替えのタイミングがないことや様々な事情があることは感じているけれど、「Never Say Never」でアメリカンな柄のジャケットとパンツはぴったりなのだけど、そのままの衣装で「今」を歌うとちぐはぐな感じに見えるなというのが素直な感想だった。

MVなどでの白ジャケットのイメージを持っていたからか、なんとなく曲のイメージカラーが青になっていて、ステージも爽やかな印象の映像のなかで歌うなら、歌詞のイメージに合った衣装の方が「今」の世界観に浸ることが出来たかなと思う。曲順を動かせないとしたら、ジャケットを脱ぐと別衣装になるトップスをインナーにしたりして、衣装にメリハリがつくとさらに素敵だなと思った。

青いステージに立って「今」を歌う7人の姿は本当に眩しくて、嬉しさと切なさが同時に込み上げて泣きそうになる。エンターテイメントをつくり、ステージに立ちそれを届け続ける関ジャニ∞が好きだと心から思った。

 

アンコールになり、出てきた関ジャニ∞は浴衣姿。

 今世紀最大に胸がときめくサプライズ。7人それぞれの浴衣の柄がまた似合っていて、それぞれ別の柄が繋ぎ合わせてあるところが素敵だった。「十祭」でのSOU・SOUの柄で作られた浴衣が大好きだったけど、さらに大人の落ち着いた風情のある粋な浴衣姿は、一目見るだけで恋に落ちるほど美しかった。

夏のツアーの醍醐味がいっぱいな演出のなか、歌ったのは「純情恋花火」

どこまで魅了してくるのか…完全降伏。素敵だったのが、スクリーンに花火を映すだけの演出ではなく、小さな色のついた花火が本当に花火大会のように間を空けて一個一個打ち上がっていくところだった。それを見上げている関ジャニ∞の姿を見ていると、一緒に花火を見たような気持ちになれる嬉しさがあった。

 

ライブの最後、挨拶をしたのは丸山隆平さん。

言葉をそっと置くように話す丸山さんの声は穏やかで優しかった。ここまで、アルバムのなかで歌われていない一曲として残されていた「青春のすべて」は、その丸山さんの言葉の後に歌われた。

ステージに移る紅葉や桜が四季の移ろいを見せてくれて、そして横にあるスクリーンには美しい文字で歌詞が映し出されていた。縦や横に伸びる文字の動きが綺麗で、できることならずっと観ていたかった。

 

丸山さんを真ん中にして横一列で並び、締まっていく扉の最後に両手でそっと投げキッスをした丸山さん。

なんとなく、今回の大まかなライブ担当は丸山隆平さんだったのではないかなと思っている。エンディングの挨拶、扉が閉まる時に中央に居ること、それだけではなく随所にそんな空気を感じた。推測なのでライブDVDになったらその答えが分かるかなと楽しみに待つことにする。

扉が閉まり、たこ焼きオーケストラの演奏が終わった瞬間の拍手。

この時に限らず、拍手がこんなに大きくちゃんと音として聞こえた実感があるのは初めての経験だった。うちわを持っていると思うように拍手ができないし、音も鳴らない。けれど今回は全体がペンライトを振るというより、拍手をしていた。いつもは届いているだろうかと思いながら贈る拍手も、今回はちゃんと届いているだろうなと感じることができた。

 

関ジャニ∞がメトロックで見た景色を持ち帰って、こうして届けてくれたことが嬉しかった。インタビューのたびに噛みしめるように話す、関ジャニ∞はアイドルなんですという言葉の意味が伝わってくるライブだった。