楽しそうだった。見渡す限り一面、あれほどの大観衆を目の前にして、本当に楽しそうだった。
9月6日発売の関ジャニ∞シングル「奇跡の人」
そのシングルの期間限定盤に収録されている、メトロックの映像。
メトロックへの関ジャニ∞の出演が発表され、あの日、時計を気にしながら多分今頃は…と思いを馳せていたあの時間が実際にどうだったのかを、こうして映像になって見られたことが本当に嬉しかった。待っていたらいいことあるなと思った。
驚いたのは、これが今年の出来事で、つい最近だということだった。関ジャニ∞はどんどん先に進んでいるのだと、置いていかれてしまうような焦りを覚えるほどだった時から今日まで、メトロックが随分前のことに思えるほど、更に前進しているという事実に驚いた。3人のメンバーが舞台を終えて、ライブツアーがあり、それぞれの仕事もグループの仕事もあり。関ジャムではセッションを続けている。
ニュースで見るのともインタビューで読むのとも違った空気感が映像にはあった。
一人一人の表情が何よりその空気を物語っていた。見せるためにつくる表情とは違う、あの場だから引き出された表情が、見ていてこれ以上ないほど胸を熱くさせた。いい表情とはなんだろうと考えると、やっぱり心から楽しんでいる時の顔に勝るものはないなと関ジャニ∞を見ていて思った。
見たことのない景色の前に立って、緊張さえ好奇心のままに楽しんでいる7人の姿に、画面越しなのにも関わらず圧倒された。虚勢を張ってかまそうとするのではなく、ニュートラルな佇まいでそこに立つ関ジャニ∞に、圧倒的な強さを感じた。
映像化されたのは本編のうちの20分ではあるけれど、充分なほどの内容の濃さだった。
見たい!と思っていたシーンを落とさず収めていてくれたことが嬉しくて、特に丸山さんのベースソロは、断片的にではなく全体の流れを含めて見ることができてよかった。
うっかり早めに差し込まれたベースソロは、予定されたものではなかったかもしれないけど、なんだ最高じゃないかとなんの違和感もなく大好きなシーンになった。丸山さんのベースを見ていたいという気持ちもあるかもしれない。そうだとしても、このシーンのような即興で始まるセッションが大好きだ。
前回のツアー「関ジャニ’s エイターテインメント」で、「NOROSHI」の前に発生するようになったセッションも、安田さんのギター演奏に乗っかって丸山さんがベースで入った時の会場の盛り上がり、大倉さんのドラムの応用力、そこに声をのせる渋谷さん。子供がはしゃぐみたいに嬉しさが抑えきれず、ジャンプする安田さんが印象的だった。あのセッションはあの場の空気で作り上げられたもので、予定されていないことが起こるのはこんなに楽しいのかと衝撃だった。
メトロックのステージでこの時一度限り起きた最高のハプニング。それぞれが自分のことで精一杯な状態でいたとしてもおかしくないあの場で、丸山さんを見守るメンバーの眼差しはとにかく優しかった。
え、どうしよう…という動揺を見せることなく、渋谷さんは「まだやで!」と笑いながら丸山さんに伝える。次の曲に移るために話す予定だった錦戸さんも、焦ることなく次の「侍唄」への流れをつくった。
この時のそれぞれの反応、特に渋谷さんの判断力は本当にすごいと思った。
お客さんとして見ていたら、自然な流れでなにが違ったかなんて分からないようなところだけれど、それがハプニングになるのかアクシデントになるのかという瞬間的な判断が求められた場面だったと感じる。ここで丸山さんがもし、やってしまったと気にしてその後の演奏に影響があったとしたら。
けれどあの場で、その瞬間に反省会を始める隙を無くして煽って、また同じことやれよ面白いからと耳打ちした渋谷さんは、丸山さんの性格をわかっているのだろうなと思った。
指摘だけをするのではなく、楽しいという高揚感をしぼませないテンションで声をかけて、渋谷さん自身もそれを面白がっている。自分だったらと考えていいのか分からないけど、自分なら、“あ、間違えた…!”と自覚した瞬間からバランスを崩しグダグダになるだろうなと思う。グッと引っ張り上げた渋谷さんの無意識かもしれない判断と、それに応えられる精神力を持っていた丸山さんに感動した。
勢いのあるバンド曲のなかで、「侍唄」が入っていることは挑戦に思えた。
別のステージでのスタート時間も考え、そこでどうなるかが勝負だなと考えていた錦戸さんの思慮深さがすごい。それでもこの選曲は最適だったと見ていて思う。前傾姿勢の曲が続き、一息つきたくなる頃にぴったりとはまるバラード。夕暮れ時を選び演奏したところも素敵だった。
ゆったりとしたメロディーでも単調にならず心揺さぶられるのは、熱のある歌声の力だと思う。
最後の曲は「LIFE~目の前の向こうへ~」
物凄い熱量だった。黙って見ているしかないほど、関ジャニ∞の熱が波動のような勢いを放っていた。これまで聴いた「LIFE~目の前の向こうへ~」とも違う曲の表情をしていて、あの時の関ジャニ∞が歌うのはこの曲しかなかったと感じた。歌詞としてだけではない叫びが、声に重なっていた。
ここまできたら達成感を感じてもいいのではないかと思うようなことをいくつ成しても、関ジャニ∞はまだ悔しがる。どこまでいっても、まだまだ、もっと、と追求する歩みを止めない。本気でいることに躊躇がなくて、それが最高にかっこいい。
こうして見せてくれたメトロックの景色は、関ジャニ∞がそこに立たなければ見ることのなかった景色だった。