関ジャニ∞のNEWアルバム「ジャム」
特別なものとして、ずっと自分の中に残り続けると確信したアルバムになった。
開封して、一通りパッケージのデザインに見惚れてから、ヘッドホンをつけてアルバムを通しで聴いた。
あっという間の1時間。抜群に好きで仕方ない曲と抜群に好きで仕方ない曲がドーンとアルバムになりました!!という強烈なアルバムだと覚悟はしていたつもりだったけど、覚悟が足りていなかったと思うほど、圧倒されている。
次から次に流れてくる曲の一つ一つが、ボディにストレートでパンチが入るぐらいの感覚。
収録曲のどれもが素晴らしいのはもちろん、曲順の組み立て方が本当に巧みだと感動した。
どの曲もシングルカットされておかしくないほどのインパクトがあるなかで、通しで聴いた時の緩急。色の強い個性を、どの並びで聴かせて、その曲が持つ魅力と余韻を最大限に活かすのか、徹底的に考え抜かれた構成だと思った。
ライブのセットリストを組むことも難しいけれど、CDとしてこれからずっと残り続ける物の曲順を決めるというのはどれだけ難しいことなのだろうと思う。
「罪と夏」から始まり、導入のテンションが決まることで、夏が始まる時期にリリースするアルバムとしてのテーマもはっきりと伝わってきて、さらに「今」の爽やかな曲調が夏の空気をそのまま繋いで「DO NA I」へとなだれ込む。
ベースラインの効いたメロディーとノリに体が慣れ始めたころ、「なぐりガキBEAT」が始まり、スカサウンドに心地よく浸り、トランペットの音色が耳に残りつつ、賑やかさに耳を少し休めて一呼吸を置きたくなったところで、優しいギターとハーモニカが穏やかなスローテンポの「夢への帰り道」が流れる。
メンバーのシンプルな声に聴き入り、心拍数も落ち着いたころ、そのふわんとした雰囲気に道場破りを挑むかのように聴こえてくるのが「えげつない」
息つく暇ない言葉の応酬とハイスピードな偏西風にさらわれたかと思うと、「パノラマ」の世界。変則的だった曲の構成から安心感のあるサビへの展開にホッとしていると、今度は「Never Say Never」でさらにテンポアップ。その勢いに必死でしがみついて行くと懐かしいギターの音が聴こえ、「侍唄」
しっとりとしたバラードに心安らぎ、音数が少なくなるからこそ歌詞に耳が向き、情景が浮かんで夕暮れを感じているところに、「S.E.V.E.N 転び E.I.G.H.T 起き」の元気なギター音。賑やかさに再び火がつき、「NOROSHI」
これぞジャムの始まり、出発点だったと噛み締めながら、このタイミングで流れてくるところに曲としての貫禄さえ感じながら聴き入る。胸の熱さが最高潮に沸き起こり、余韻に圧倒されていると、
聴こえてくるのは「青春のすべて」
すべてを振り返るような歌詞と落ち着いた歌声にすうっと力が抜けていくのを感じながら、美しいメロディーと耳に馴染んだメンバーの声が胸に沁みて、刹那的な哀愁を噛みしめる。
楽曲提供と安田章大さんの作詞作曲を含め、アルバムに共通して収録されているのはここまでの
- 罪と夏
- 今
- DO NA I
- なぐりガキBEAT
- 夢への帰り道
- えげつない
- パノラマ
- Never Say Never
- 侍唄
- S.E.V.E.N 転び E.I.G.H.T 起き
- NOROSHI
- 青春のすべて
ここから、初回Aには丸山隆平さん、安田章大さん、錦戸亮さん、大倉忠義さんのユニット曲「ノスタルジア」
初回Bには渋谷すばるさん、横山裕さん、村上信五さんのユニット曲「Answer」が収録されていて、
通常盤には、渋谷すばるさん作詞作曲でメンバー全員が歌い演奏した「生きろ」
安田章大さん作詞作曲の「JAM LADY」
錦戸亮さん作詞作曲の「Traffic」が収録されている。
通常盤の「Traffic」までをアルバム「ジャム」の構成として考えると、
安田章大さんが作った「Never Say Never」以外のここまでの11曲は、それぞれの楽曲を提供してくださったアーティストやプロデューサーの方々が思い描く関ジャニ∞に今提供したい曲なのだとすると、ここからの3曲は関ジャニ∞のメンバーである渋谷すばるさん、安田章大さん、錦戸亮さんが今、関ジャニ∞と歌いたい曲なのではと感じた。
「生きろ」は、音が今まで聴いてきたものと全く違う。右耳に聞こえる音と、左耳に聞こえる音が明らかに違って、まるで関ジャニ∞が演奏しているバンドとゼロの距離で自分が聴いているような感じがする。目の前とも違うのだけど、渋谷すばるさんの目の前に自分が立っているような。もしくはバンドの真ん中、渋谷すばるさんの声を後ろに感じながら、ドラムが前にある感じ。
どちらにしても、現実には体験不可能な位置で演奏を聴く体験が、この曲では出来る。
「生きろ」を作った経緯を渋谷すばるさんがラジオで話されていた時、自分が若かったころ、憧れていた人にそう言ってもらえていたらもっと救われただろうなと思って、そういうののきっかけのいっこにでもなれたらすごいことやなという思いもありつつ。という話をされていて、
自身があの頃そうしてもらえていたらと感じたことを、今の自分がしようと考える、渋谷すばるさんの考え方と行動力に心を揺さぶられれた。その思いが、言葉数少なく、でもはっきりと熱を帯びて込められている曲だと感じた。
「Traffic」は、「生きろ」から音の遊び心を引き継いでいるかのように、左耳で錦戸亮さんの弾くギターの音色を独占できる。まさにTrafficと感じるような、高速道路に居るかのように音が押し寄せる演出に、沢山の車から聞こえる喧騒が広がり、一瞬にして運転席でハンドルを握る自分の姿にズームする感覚に陥った。
渋滞に巻き込まれた車と、主人公の歩みをダブルミーニングで歌詞にするなんて、本当に錦戸亮さんはセンスの塊だと思う。錦戸亮さんが歌詞にする皮肉は、いやな黒さがなくて、それは多分その皮肉はいつも自分自身に向けられたものだからなのだと思う。他人に苛立つよりも先に、自分に苛立っている。だから曲を聴いている側が共鳴できるものがあるのかなと「Tokyo holic」を聴いた時に思った。
全体のテーマとして、“どこかへ向かう途中” “今” “これまで” “これから”というような要素を強く感じるアルバムのなかで、最後に「Traffic」として現在地に戻ってくる感じがすごくいい。等身大に戻ることも出来できる、今の関ジャニ∞がとても魅力的だと感じた。
様々な方々に関ジャニ∞をプロデュースしてもらい、そしてアルバムラストの3曲で個々の色がはっきりとした楽曲を収録したアルバム「ジャム」は、今見られている関ジャニ∞もこれからの関ジャニ∞も味わえる最高のアルバムになっている。