「T.W.L」のカメラワークに魅せられた。関ジャニ∞ライブDVD「EIGHT×EIGHTER」後編

 

そして、このDVD映像で最高なカメラワークだと思ったのが「T.W.L」だった。

歌始まりで右手を挙げる振りの時に、ピントをぼかして映してから合わせるところ。ここに物凄くグッときて、カメラの動きも演出の一部なんだと知った。振り付けや音に合わせてカメラが楽しそうに動いていて、実際に会場で見て高揚感を感じることはできるけど、DVDで映像にしてそのワクワクした空気や熱気を伝えることができるのはすごいと思った。

振りが斜めの時はカメラも斜めに使う、音と映像、動き全ての息が合っていて、引きの画とアップの使い方が絶妙。ここを撮ってほしい!がしっかり押さえられていて、寄って引いて、誰を映すか。何秒で切り替えるか。画面の切り替えは細かく多いのに、ガチャガチャしていなくて酔わない。ライブ映像におけるスイッチングの奥深さに感動した。

どこを見てもらいたくて作られた振り付けなのか、それがはっきりカメラワークで伝えられていて、全体をどうとでも見られる状態の肉眼より、ドラマチックな気がした。

 

言論の自由という画面の上で炎上”の丸山さんと錦戸さんの映し方も、向かいにあるカメラで平面的に撮らずに、斜め左下からのカメラで撮ることで抱きかかえられている丸山さんの目線がちょっと味わえる。見上げる感じがいい。

錦戸さんがハーモニカ終わりで次のポーズを先にスタンバイしているゆるさも好きで、注目して見てしまう。そして最後に“本当 All Light?”の歌詞で大倉さんが腕を前に伸ばしてから指さしに変えた瞬間。手元に寄るカメラがいい。

予定していた通りの動きをするとは限らない予測不能な状況で、その瞬間を逃さない。一発本番の場での計算されたピント合わせにカメラさんの凄さを感じた。

 

「輝ける舞台へ」では、安田さんと渋谷さんと同じムービングステージに乗っている錦戸亮さんが、二人のジャンプで揺れる床に身を委ねてピョコピョコ浮いている姿が可愛くて仕方ない。丸山さんとJr.の子と大倉さんで並んで、DJみたいにスクラッチの動きをしながらくるっと回るJr.の子の振り付けを真似して踊るところも好きで、この振りがやってみたかったんだろうなという可愛さと、楽しそうで嬉しそうな空気がいい。

そのようなちょっとしたポイントを余すところなくカメラで押さえてくれているところも含めて、DVDとしても素晴らしいと感じたのが「EIGHT×EIGHTER」だった。

始まりのバンドからの振り幅に驚いているうちにどんどんとセットリストは進み、「パンぱんだ」は小さな子供でも口ずさめるような歌詞と可愛いがいっぱいの演出に全方位から心を掴まれる感覚。「wonder」を初めてこのDVDで見て聴いた時は、あまりにリアルに伝わってくる感情と心情のようなものに圧倒された。

 

 そして「Fight for the Eight」

ブルーのジャケット衣装に白の手袋。メンバーそれぞれが間隔をあけて立ち、後ろには大きなスクリーン。

言葉にすることが難しいほど、細部までこだわりを感じる演出だった。きめ細かさと大胆さが共存している凄さがあって、ひたすら釘付けになって見た。本人の後ろにスクリーンがあり、そこに大きく映される本人の姿という構図が格好いい。ダンスに合わせてスクリーンに映る大きな岩が動いているかのように見える映像技術がすごい。その岩がメンバーカラーになっていて、遠目でも誰がどこにいるのか分かるようになっているところもいい。

岩を打ち破るとメンバーが映る。大きな壁を壊したり、裏表が入れ替わる演出を見ていると、どこか虚構と実物の対比のようにも見えてドキッとする。

“今は聞こえないクライ”の歌詞で、実際の丸山隆平さん越しの見上げるほど大きいスクリーンに映る丸山さんと、“目の前のYou”での振り付けと一緒に映る丸山さんの表情が最高にかっこいい。

そこからライトを使った演出。あそこまで照明を落として見せる時間を作る思い切りがすごいと思った。あの仕掛けの衣装では暑さや重さもあるだろうし、動きづらいはず。その状態で踊り続けるのは大変なことだと思う。

曲のラストに上がる紙テープが消えたライトマンの残像みたいに見えて、最後まで驚かせるパフォーマンスに感動した。

 

その象徴的な紙テープが落ちていく間に、「365日家族」のイントロが流れてくる。少し前まで不気味にも見えた紙テープが、記念日を祝うクラッカーのテープみたいに見えるようになる。一つの演出で二つの表情を作る、緻密に計算された凄さを感じた。

 

着替えへの流れも自然で、「I to U」から着る衣装はライブ衣装の中で個人的にトップ3に入るくらい好きなデザイン。センスよく柄と柄を合わせてパッチワークにするのは難しいはずなのに、パッチワークに三角が散りばめられたカラフルさがいい。1人1人デザインが違って、丈長めのジャケットだったりベストだったりする。特にこの時の渋谷すばるさんの髪型と雰囲気にとても合っているのがこの衣装だと思っていて、フード付きの袖長めな服がすごくいい。

衣装といえば、丸山さんの着る衣装の中では「ミセテクレ」から着る、よく見るとグリーンのチェックになっているシャツに、赤のネクタイで黒のスキニーを合わせている服が素晴らしく似合っていた。

 

野球要素と言えば「Eightopop!!!!!!!」にもそれを感じる。メガホン型ライトが大活躍で、ドラムと同じリズムで手拍子を打つところや“oh oh...”の部分など、メガホンを振るのにぴったりな箇所が多く、どこか野球の応援っぽさがあって、ライブの流れのなかでここでまたテーマに戻ってくる感じがいい。

メンバーもメガホン型ライトを手に持って振りながら横一列で踊るところは、どこよりも可愛い応援団にしか見えない。

 

「Fly High」では、“目指すオリジナル スタイル スタイル…”の歌詞に合わせてポーズをとる丸山さんがツボで好きなところ。大倉さんの“飛ぶなら今”を言いながらのカメラの使い方が流石な魅せ方なのもすごいと思った。

さらにユニット曲である「夜な夜な☆ヨーNIGHT」は、あまりにはっちゃけたテンションの安田さん大倉さん村上さんの3人に、なんか意味はわからないけど楽しい!と引っ張られる感じがして、ユニット曲はかっこいいだけじゃなくこういう曲でライブに緩急をつけることもできるんだと発見だった。会場の完璧な合いの手、メンバーが入れ替わりで立つお立ち台。ユニット曲の新たな面白さを知った。ここでも野球節が出てくるところが良くて、「ビバ ビバ エイター」みたいなことを会場でやってみたい!と思ったことも、ライブに行きたくなるきっかけだった。

曲のインパクトもさることながら、この曲での村上さんの色っぽさは半端ではない。あまりの衝撃に思わず巻き戻して見たくらい。なんとなく知りつつあったけど、バラエティーでは見せない村上さんの表情をライブでは見られるんだと気づいたのはこのDVDを見た時だった。特にこのDVDでの村上さんの可愛さと男の人感はすごい。

「Hi & high」で自由自在に動き回りながらベースを弾いて歩く丸山さんも、立ち回りが綺麗で格好よくて、魅せることと観られることのプロだと感動した。さらにこの曲の、テンポが早いところからワルツのようなゆったりとした3拍子に変わって、また早いテンポに戻す。掴みどころのないメロディーを弾いている時のリズムの取り方が好きで、何度も見た。

 

そしてここだけはツアー最終日のサプライズだったようだけど、オープニングと同じくらいラストも素敵だった。

アンコールも終わった最後の最後で映像が流れた。「準備はええな」と言う横山さんの声が暗闇で聞こえた後で、マウンドへと上がる階段を登るエイトレンジャーの後ろ姿。 これが後々に発表されるエイトレンジャー映画化に繋がる伏線になっていたと知った時、どこまで驚かせるんだろうと思った。粋で、楽しませることに一生懸命。お尻にある∞マークですぐに分かるエイトレンジャーという特徴を活かして、オープニングに被せた映像を作るアイデアが凄い。

 

バンド色の強かったライブというと「JUKE BOX」の印象も強いけれど、「EIGHT×EIGHTER」も始まりの4曲がバンド。後半にもバンドセクションがある。歌と演奏で届けたいなにかがその時にあったのだと感じた。

6年前の関ジャニ∞にも変わらぬ魅力があり、ここを経た今があると知ると、さらに引き込まれていった。特に印象的なのは渋谷すばるさんの荒々しさ、1曲が終わるたびに燃え尽きてしまうのではと危うく感じるほどの全力の叫び。

発展を始めた頃に生まれた、関ジャニ∞としてのバンドの空気がこのライブに溢れていた。