異国情緒あふれる音楽、不思議な波長「ザ・プーチンズ」

 

2年前、手紙社が主催する「もみじ市」というイベントに行った。目移りするほど沢山の雑貨や美味しそうな食べ物が立ち並んでいた。しかし、なによりもずば抜けたインパクトで記憶に焼きついたのは「ザ・プーチンズ」だった。

赤いワンピースが印象的なテルミン奏者の街角マチコさんと、背のスーッと高いギタリストの街角マチオさん。そしておさるのパペット、さる太郎からなる3人組?のアーティスト。

その個性はとにかく独特で、一度見たら忘れない衝撃。その衝撃を例えるなら、ラジオのチャンネルを合わせようと電波を探していたら、異国の電波を拾ってしまった!というくらいの未知との遭遇

ボサノヴァのようでいて、その一方EDMのような多面性がある曲調、歌詞の面白さ、掴み所のない二人のポーカーフェイス。触れない、水の中をゆらゆらと漂う透明なクラゲみたいだなと思う。個人的に、そのうち関ジャムで紹介されるような気がしている。

 

マチコさんはテルミンを演奏する。テルミンという楽器は、手を近づけると不思議な音がする。楽器自体は知っていたけど、生で見たのは「ザ・プーチンズ」のライブが初めてだった。映画「のだめカンタービレ」で、のだめが寮で出会ったテルミン奏者の女の子のことを思い出して、どんな仕組みで音が鳴っているのか気になっていた謎がここで繋がった。

マチオさんの弾くギターは、私がそれまでギターと聞いてイメージする弾き方と違って、ジャカジャカというよりポロポロと一弦ずつ鳴らす演奏だったところに魅力を感じた。耳に心地よくて、ゆったりした気分になる。そしてマチオさんの声がいい。ええ声とはこういうことだ…と聴き入る、唯一無二の低音ボイス。

かなり歌って踊るパフォーマンスなのに衣装はスーツで、ジャケットなしの白シャツにベストのみのスタイルなのが、素敵な違和感となって興味を持ってしまう。

ザ・プーチンズ」はEテレにも出ていて、小さなお子さんにも人気。家族連れでライブを見に来られていたりして、幅広い年齢層のファンの方がいるように感じた。

 

もみじ市で見て以来、その時一緒に見ていた友達との間で「ザ・プーチンズ」が出演するとなれば行くよね?という暗黙の了解ができた。それ以降は、年に一度のペースで一方的な再会を果たしている。

前に一度、何も知らずに出かけた先でラジオの公開放送があるという場に出くわして見ていこうかなと近づくと、このあと「ザ・プーチンズ」がゲストで登場しますとアナウンスされ、なぜこんなにも縁がと驚いたことがある。もちろん、しっかりと見て行った。

 

「僕のプリン食べないで」がお気に入り曲。さらに今回行った蚤の市で初めて「恋愛契約書」を聴いて、この曲の少女マンガの理想が盛り込まれていながら淡々と解説するような歌詞と、フリーダムすぎるライブでの演出が魅力的すぎて、好きな曲になった。

マチコさんの演奏するテルミンの音に癒され、マチオさんの声に癒され、さる太郎の進行に笑いながら、肩の力を抜いて音楽を楽しめる時間がここにあるなと感じた。

常に緊張しているような自分でも、「ザ・プーチンズ」のライブを見ている時はNo緊張感。Noストレス。

 

初めて聴いた当初は、2年間もゆるーく追っていくことになるとは思っていなかったけど、無意識のうちに心に居座る中毒性が「ザ・プーチンズ」にはあることを実感している。知ってしまったので、もう離れられない。

 


ザ・プーチンズ「恋愛契約書」MUSIC VIDEO