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なぜ大阪ロマネスクに惚れ込むのだろう

 

関ジャニ∞の曲のなかで群を抜いて人気のある曲。

「大阪ロマネスク」

2006年3月に「KJ1 F・T・O」というミニアルバムに収録された後、同じ年の6月に「∞SAKAおばちゃんROCK」との両A面として発売されている曲。

十周年を祝うライブ「十祭」ではファンのシングル曲リクエスト投票1位になり、それ以外の場でもジャニーズカウントダウン関ジャニ∞リクエストで選ばれたりもしている。

この流れを見ていて、どうやらこの曲は並々ならぬ熱のある曲で、昔からファンでいる人、なにかのきっかけで知りファンになっていった人も含めて好きになっていく曲なのだろうかと感じるようになった。

いやいや1位とは思ってないよ、という人も居るとは思う。自分も心の中の第1位は?と聞かれたら「青春ノスタルジー」が思い浮かぶ。けれど、ふと聴きたくなる時があるほど今ではこの曲が大好きだ。

松竹座時代と呼ばれる時期やJr.時代については詳しく知らないままだけど、今なら「大阪ロマネスク」が愛されている理由がわかる気がする。

 

関ジャニ∞に興味を持った当初、「大阪ロマネスク」が1位と聞いて、とても意外だった。ファン投票というと、盛り上がるライブ定番曲やドラマ主題歌などになった明るい曲、もしくはファンへ宛てたメッセージのある曲が上位にくると思っていた。

一体それはどんな曲なんだろうと初めて曲を聴いた時も、想像以上にしっとりした曲調で、音楽番組などで見てきた関ジャニ∞のイメージとは違うことがやはり意外だった。この曲が1位になるのはどうしてだろう、どんな経緯があったんだろうと不思議で、興味が湧いた。

 

まず曲名にある“ロマネスク”とは何だろうと調べた。

ロマネスクはフランス語。表記は(romanesque)で、意味合いは『小説のように、数奇であったり情熱的であったりするさま』ほかにも『空想的な』という意味を持つと書かれていた。 和の要素を強く感じるこの曲のタイトルに、“大阪”というはっきりとした地名と“ロマネスク”というどこか浮世離れした言葉を合わせたことも、リアルと空想を融合したまさに小説的な世界観を表しているなと思った。

この曲には随所に人を惹きつけるポイントがある。歌詞に出てくる言葉の美しさ、シチュエーションへのときめき、関西弁、落ち着いたメロディー。関ジャニ∞が歌うことで伝わるバックグラウンド。

まず、関ジャニ∞が大阪がテーマの曲を歌うことで魅力が発揮されるという大きなポイントがあると思う。歌詞には大阪の街が思い浮かぶ地名が沢山出てくる。【梅田駅、心斎橋、難波の庭園、キタ、ミナミ、戎橋、御堂筋】他にも、神戸まで見渡せる観覧車など実際に見ることの出来る景色が一曲に詰まっている。

関西に住む人にとっては地元を歌っている嬉しさがあるだろうなと思う。更にそうではない人でも、だからこその楽しみ方がある。

自分が経験して思ったのは、関ジャニ∞を知った当初と今とでは感じ方が違うということ。最初に聴いていた頃、歌詞にでてくる梅田駅や心斎橋などの名前はどんな場所か分からず、地名なのかも分からず。想像の中で“大阪”というイメージを描きながら聴いていた。

時間が経って関ジャニ∞を見ていくうち、どんどんと大阪への好奇心が湧いて、一度大阪に行ってみたいと考えるようになり、念願叶って大阪に行くことができた時の気持ち。あの感情は忘れないと思う。

好きでいる人たちが生まれ育った場所、歩いていた道がそこにあるという感動は感慨深いものだった。初めて来たのに、知り合いがいる街に遊びに来たような安心感があった。自分にとっての地元ではないけれど、誰かの地元というだけでこんなに思い入れができるものなのかと初めての感覚を覚えた。

大阪の街を歩いて景色を見て来てからは、さらに曲の印象が変わった。知っている場所、見たことのある景色、思い浮かべることができる嬉しさがあった。

 

「大阪ロマネスク」の歌詞はプロローグから始まって、ノスタルジーな雰囲気が漂う。

どこか昔のことを懐かしむような視点で曲が始まるところに昔懐かしさがある。曲の主人公は関西出身の男の人で、恋人は関西出身ではない。彼だけが関西弁を話す。

彼女のことを想っているのに、どこかちぐはぐな距離感がジンワリと切ない。関西弁は魅力でいっぱいだと思っているから関西弁をいやがる彼女の気持ちは分からないけど、“でも僕は変えないよ「好きや」と言うから” という言葉を言う気の強さが可愛らしい。

歌詞のフレーズ1つ1つが美しくて日本的で、曲のアレンジも和楽器の音が聴こえる。それによって気品のある和な雰囲気を感じられる魅力もある。

“恋をするなら 御堂筋から始まるのさ” 

“恋をするため 心斎橋には人が来る” 

 と歌詞があり、曲の終盤にきて

今日も誰かが めぐり逢う

遥か 遥か 西の街

恋をするなら 御堂筋から始めるのさ

雅なる物語

という歌詞がくる美しさ。1番では“始まるのさ”だったのが“始めるのさ”に変わっていることから、歌詞に出てくる二人は再び一緒に歩いていくことを決めたのだなと読み取れる。

比喩だったり、はっきりとは説明していない行間の多さが曲を聴いているそれぞれに想像する隙間を与えていて、それがそれぞれの頭の中で思い描く“大阪”をつくらせてくれているのかなと思う。関ジャニ∞を知れば知るほど募る大阪への愛情が形になっているのがこの曲のような気がした。

関ジャニ∞を好きになると一度は持つ思いが、『自分も関西出身でありたかった』という思いのような気がしている。彼らの地元への愛を見ていると、そうではない県にいる自分はその中にいない寂しさ、疎外感が少しあった。けれどこの曲はその疎外感を振り払う力を持っている。曲の中での、大阪を知らない彼女に大阪の良さを伝えていくという距離感は、知らないからこそ知っていくことができるというこれからの楽しみに目を向ける視点をくれる。

だからきっと、1人に1つ持っている、関ジャニ∞との出会いからここまでの思い出や、大阪への思いも重ねて聴くことができるのが「大阪ロマネスク」という曲で、瞬間的な楽しさというより、アルバムをめくって写真を見ながらこれまでを振り返るような、じんわり広がる浸透性のあるベストソングになっているのかなというのが私なりに思う結論だった。

 

ラブソングという括りではなくて、懐かしさも哀しさもある。これが哀愁というものなのかなと思える空気感が聴いていて心地いい。

自分は今も昔も暮らす場所を大きく変えたことがない。それゆえに故郷というものがあることへの憧れがあるのかもしれない。

関ジャニ∞を好きになって、大阪に興味が湧いて、大阪を好きになって。さらに関ジャニ∞を好きになっていく。無限を描く魅力が「大阪ロマネスク」にはある。