ライブステージが終わっても続くNissyからのGIFT -1-

 

Nissyを知ったはじまりはYouTube
そう書き出しで記事を書いてから、約9ヶ月後
「Nissy Entertainment 1st LIVE」に行ってきました。

AAAのメンバー、西島隆弘さんのソロ活動としての名前がNissy(にっしー)
始めはお気に入りの動画として、繰り返し見ていただけだった。時々チェックするとMVが新しく増えていて、やった新しい作品が増えてる!とじわじわ喜んで。
そしてMVを見るたび、やっぱりこの人のセンスが好きだ…と感じていた。
アルバムが出ると知って、初めて自分で調べてCDを注文。MVが揃っているDVDが出るなんて買うしかないと思って。

でも、ライブに行って自分がNissyの歌声を直接聴ける日がくるなんて想像していなかった。
どんな経緯で作られたのかも知らないまま映像に出会って、西島隆弘さんのこともよく知ないまま、Nissyとしての作品がなんだか好きで、ホームページも見たけれどまだミステリアスで。謎の多いまま。
だけど、歌をいつも聴けるようにしたい。部屋にNissyのCDを置きたい。という衝動から手探りで調べて手にしたアルバム。
そんな始まりから、ライブに行ける日がくるとは。
この距離感で応援している自分ではその資格がない気がしたし、ここからで充分だと思っていた。画面の中のまま、なんとなく気に入ったままの気持ちでいると思っていたから。そう思っていた私に、まさかの声をかけてくださった方がいた。その方のおかげで私はNissyファーストライブを観に行けることになった。


触れたことのないエンターテイメントだった。
日本に居るのに、海外アーティストのライブのようで、でも緻密で丁寧で。“粋”を徹底して貫いたパフォーマンス。
3時間越えのステージ。スクリーンに映されるカメラのアングルから何から全てに強いこだわりを感じた。
会場のアリーナに入った瞬間から、そこはもうNissyのつくるオンステージで、それは始まりから終わりまで。おもてなしの嵐。

ライブ開演前、客席をランダムに抜いてモニターに映す仕掛けがあった。今まさに流行りのカメラアプリみたいに、お客さんの顔を認識して加工がついて、タイガーマスクだったりおもしろメガネだったりが付けられる。その度に楽しい笑いが起きていて、待つ時間さえおもしろくなるようにしているんだなあと感動した。
なんだかそのカメラとモニターの使い方が、海外のスポーツ観戦のハーフタイムみたいで、こういう所に感じるNissyらしい海外の雰囲気が好きだと思った。

考えて考えすぎということはないNissyがプロデュースするエンターテイメント。そこまでは考えてやってなかった…なんてことがない、全て考えて、緻密に計算し尽くされたステージ。楽しすぎるに決まってる。
ライブの中盤にあった、MCとも違うサプライズなコーナーには驚いた。
Nissyがはけた後、スクリーンが二分割になって、右半分は客席を。左半分はトーク画面のようなものになって、「トークしよ!」とメッセージが吹き出しで入る。Nissyとコール&レスポンス的なことでもするのかな?と思っていたら、想像の遥か上を行った遊び心だった。
メッセージが出るまでの間、カタカタカタというタイプ音がしていて、どうやら本当にNissyがリアルタイムで打っているようだと気づいた、あの時の驚き。客席の中からファンが1人ずつ選ばれて、Nissyと間接的にやり取りができる。それも一度でなく何度かチャンスがある。事前にセッティングされたものではない証に、その子のリアクションにいち早く反応していたり、ツッコミをいれたり、タイプミスをして打ち直して、「タイプミス」って送るNissy。リアルがすごかった。
しかも、そのやり取りにファンの子が答えたお礼に、画面上に映し出されたNissyとのツーショットと、Nissyからのご褒美が。その映し出される位置にズレがほとんど無かったのも驚きで、合成って距離がズレていて届いてなかったりするのが残念ポイントだったりするけど、どうしているのかスタッフさんの技術なのか、ちゃんとツーショットでよしよしだったり、ハットを頭に被せてあげたり、ほっぺにキスだったり出来ていたのが凄かった。

新鮮に感じたのは、オープニング映像でダンサーさんのそれぞれの写真と名前をピックアップして紹介するパートがあること。その流れの延長線上にNissy自身もいるのが良いなと思った。同じステージに立つダンサーさん、そして支えるスタッフさんのことを、一人一人として見ていることがオープニングとエンディングの映像から伝わった。

演出について話しだせば、こだわりを感じた良いところなんて全部なんだから全くきりがないのだけど、大きく分けて3曲挙げたい。

「Aquarium」
シングルをCDで持っていないから、ライブパフォーマンスで初めて聴いた曲だった。少しこわいくらいの悲恋な歌とその演出に、ドキッとさせられた。
Nissyが歩く先にある、なにも変わらないように見えていた中央ステージが、Nissyと白いワンピースの女性が踊りだして初めて、2人の足元に水があると分かって、浅いプールのように水が張られているのだと気づいた時の驚き。
曲中、Nissyが水を蹴り上げた。その水の飛沫が綺麗で、釘付けになった。遠くから見ていてもそこに水があると理解できる見せ方で、凄い。
そこに躊躇なく仰向けで倒れこむNissy。
水の演出を使って、ここまでがっつりと濡れている演者さんを初めて見た。次の展開を心配するなら避けそうなことを、やってのけていることがすごいと思った。
ストーリーは進み、想い焦がれても届かないまま、彼の前を無情にも女性が通り過ぎ、彼が絶望の表情を見せた瞬間、後ろにそのまま身を落とした。
暗闇に落ちていく姿が、頭では演出と分かっているはずでも、ヒヤッとした。客席から聞こえたうっすらとした悲鳴も、あまりのリアリティーだったからだと思う。空気に飲まれて、花道だったはずの床がいつの間にか奈落になっていたことに気がつく隙さえなかった。流れのまま倒れこむNissy自身も、スタッフさんも、信頼関係が出来上がっていなければ出来ない演出だったと驚かされた。
そのままジャボンと水に落ちる音がして、メインスクリーンに映像が流れる。気が付くとNissyはセンターステージに立っていて、「テレパシー」を歌う。ひとつひとつの流れに一切無駄がなかった。

「ワガママ」
花道先の中央ステージが上がって、曲の大サビでフッと音楽が止まり無音になった。
ワンフレーズをアカペラで歌い、音が戻る。 “声だけを” 聴けた瞬間だった。静まり返ったアリーナに響くNissyの歌声が耳に真っ直ぐ届くようで、すごい浸透力だった。
モニターに映像が映り、パチンとNissyが指を鳴らすと、アリーナの天井全体に星空が広がった。キラキラと反射していて、わあっと歓声の上がる会場。自然と自分も天井を見上げていた。

「GIFT」
ニット帽をかぶって冬の服装に身を包み、セルフィーカメラを持って登場。実際にそのスマホカメラの映像が、スクリーンに大きく映し出されている。花道の先まで持って歩いて、まさかのステージ下に降りるまで、セルフィーで本人が撮っていて。
今回のライブで個人的に最も刺さった演出が、Nissyがカメラごと下に降り、しばらく暗い中を進む様子が映されたと思ったら、花道の下の真っ暗なトンネルを電飾で飾り、イルミネーションに変えて、後ろを指したタイミングでパッと点いた、光のトンネルを見せる演出だった。
移動って、本来は見せずに事前に撮られた映像で繋ぐものという固定概念があったから、花道の下を映すなんて魅せ方があると思わなかった。その演出に胸打たれて、やっぱりNissyは好奇心に溢れたサプライズを忘れない人だと尊敬せずにはいられなかった。
メインスクリーンの映像も、沢山のカラフルな水玉に雪の結晶が浮かんでいるという可愛らしさ。そこにフレームがあって、映るNissyの笑顔。
そして曲の最後には、MVの景色をまさかの大きなボックスの中に本人が入り、その様子をカメラで映すことで再現。MVと同じようなイルミネーションの景色の中で、Nissyが楽しそうに歌っている姿は、それはもうキュートで。
ライブの中で見るNissyはアンニュイだったり、スタイリッシュだったり、七変化どころではない変身っぷりに、振り回されっぱなしだった。