360°ステージに挑んだ、関ジャニ's エイターテインメント《後編》

 

ステージ上には4面の大きなスクリーンと、スピーカー、さらに上に帯状にぐるっと粗めのスクリーンがあった。水色の∞マークがふよふよしていたりもして、クリアではない粗い感じの映りがゲームみたいで可愛かった。

その帯状のスクリーンの使われ方がとても好きで、「なぐりガキBEAT」で “ほら 虹がかかるよ” と渋谷すばるさんが歌うと、上のスクリーンがふわーっと虹色になっていく様子が綺麗で。

歌いながら上に手をのばす動きをする渋谷さんが素敵で、自然とそう動きたくなるならそれも素敵だし、演出の意図をお客さんに自然な流れで伝えるため、そうしているのだとしたらすごいなと思った。

4面の大きなスクリーンも、メインステージとバックステージに2つのスクリーンがある時よりも、距離が近く見やすくて、しかもどっちを見たらいいか迷うことなく視点一点だから、集中して見ることができた。


「Black of Night」では、ドームの天井に紫色の円が丸く映し出されていて、初めは下のライトが反射しているだけかと思っていたけどあまりに綺麗に映るので、演出なのだろうと思う。それがまた一層、曲の世界観を色濃くしていて、その円の中、見えないガラスにそれぞれが囲われて囚われているようだった。つい見上げてその円を眺めてしまって、切ない気持ちになった。

“暗闇のラビリンス”という歌詞のところで、渋谷さんがスクリーンに映されると、いつも苦しそうで泣きそうに表情を歪めていて、グッと曲の世界に入り込む渋谷さんを見た気がした。

曲のラスト、背中を向けてうつむき気味な状態で暗転していくなか、肺から大きく深呼吸をするような動きをしたかと思うと、“すうっ…はあっ”という呼吸音が聞こえて終わる。あの瞬間が劇的で、見つめながらドキドキしていた。


今回のライブは映像のイメージも強くて、オープニングはもちろん、オープニングに絡めた中盤に流れる映像、そして 「Tokyo holic」前のインター映像の挟み方もすごいと思った。暗転の後、映像が流れ、メンバーが演奏を始める。曲は関ジャニ∞の曲ではなくて、ツアーの地域ごとに変化。何が起こっているか分からない中で、それでもノリのいい客席からは曲の合いの手がばっちり入ったり、ペンライトのリズムが揃ったり。適応力が凄い。

そうこうしているうちに一曲演奏が終わり、段々と聞き覚えのあるベース音が。

ツアー前に出たシングル「NOROSHI」の初回盤映像を見ていればわかるあのイントロが流れ始め、画面には画角いっぱいにARE YOU READY?の文字。そこからの曲タイトル「Tokyo holic」がバーンと映し出される。と同時に中央ステージ下からバンドごとせり上がってくる関ジャニ∞ 。カッコ良すぎやしませんか。

東京公演の時点ではまだ、タイトル未定だったこの曲が、ツアー中にタイトルがつき、ここまで完成するスピード感。そして次のシングル「なぐりガキBEAT」に収録される。なんてテンポ!!

とにかく、インター映像を見るために一度着席したお客さんへの準備のさせ方、一度落ち着いた会場のテンション再び湧かせるための煽り方に感動した。錦戸さんが大いに関わっているであろうこの演出も含めて、映像作りのプロだと思った。

 

新タコヤキオーケストラの皆さんも、今回のステージ環境から演奏することは容易でなかったと思うけれど、ストリングスのみなさんもバンドのみなさんも管楽器のみなさんも、あの場で奏でてくれることの凄さを感じながら聞いていた。

今回、初めて大阪オーラスの公演に入る経験をした。その時の席がオーケストラに近くて、終了後にドームから出る道へ向かう途中、いつもなら会うことのできないオーケストラの皆さんがスタンド下で待機されていて、手を振ることができた。お姉さんたちがわざわざ上を向いて手を振り返してくれて、すごく嬉しかった。素敵な演奏でした、という感謝の気持ちでひたすら手を振りながらドームを後にした。いつも拍手を送ってはいても直接伝えることはできない、“楽しかったー!”というテンションを童心に帰って伝えられたことが嬉しくて、そのことが今回のライブでとても印象に残ってる。

 

関ジャニ∞のライブとして久々だった360°ステージ。

素晴らしかった!楽しかった!!


いつものステージの、そちら側があって、こちら側がある立ち位置もいいけれど、“真ん中”という位置を選んだ関ジャニ∞の心意気が好きだ。

出演者からしたら、落ち着ける広さのあるバックヤード(舞台裏)がある方がいいだろうと思うのに。花道一本作るだけでも、狭い中、トンネルのような所を急いで移動することになる。

背中を見せ続けることがどれほどの緊張感か。覚悟と勇気を持ってそこに立っていることを、ずっと思いながら見ていた。

それでも360°で魅せると決めた関ジャニ∞の今の挑戦を観られたことは、本当によかったと思う。ライブを作るどの部分にメンバーがどのくらい関われているかなんてのはわからないものだけど、一年ごと着実に、メンバーひとりひとりが吸収してきたものを関ジャニ∞に注いで、化学変化が起きて、どんどんと膨らんでいくのだと感じた。