「青春ノスタルジー」が大好きだ

 

関ジャニ∞の曲の中で、群を抜いて好きな歌がある。

 「青春ノスタルジー」

2013年に「JUKE BOX」のアルバム曲として収録されたその歌の魅力について。

 

曲はイントロがなく、渋谷すばるさんのボーカルからはじまる。そこへ声が一つ一つ重なるようにコーラスとして加わり、すこしの間を空けてトランペットの音が聞こえてくる。

曲だけを聴いていた頃も好きだったのに、ライブDVD「JUKE BOX」でパフォーマンスを見て以来、どうしようもなく好きになってしまった。ライブ映像で最もリピートしているのは、今も変わらずこの曲だと思う。

 

ライブDVDで見ると、スゥと息を吸い込む音まで聞こえて、この歌の入り方に一瞬にして引き込まれた。

マイクに息がかかるような、近い距離で歌っているような。耳がくすぐったくなるような感覚。

このワンフレーズで曲の雰囲気がはっきり伝わってきて、懐かしく、切ないその雰囲気が大好きだ。

 曲のテンポ、メロディー、歌声、振り付け。どれを取っても素晴らしい。

 

曲の中で印象に残る、指のスナップ音。

これが大っ好きで。少年隊の「君だけに」も同じ理由で好き。キュンとしてしまうのはなぜなんだろう。コーラスとスナップ音が一緒に聴こえて来ることで、情緒がグッと増す。

 

振り付けに至ってはもう、もう全部が好きなのだけど、

スタンドマイクを使い、片手はマイクに手を置き、もう片方の手でスナップをするという、程良いこなれ感というか落ち着いた雰囲気がたまらなくいい。

「愛はノスタルジー」の部分で、肘を曲げて片手でスナップした後にもう片方の手でもスナップをするのが好きで、しかも大倉さんはその長い腕で衣装のジャケットを軽く腕まくりしているから、より一層振り付けが綺麗に見える。角度も完璧。

「ひとりよがりのジェラシー」という歌詞の“ジェラシー”の部分で両手を頭をかすめてから片手を前にすっと押し出す振り付けも、歌詞を絶妙に表現している気がして、錦戸さんの美しい動きを見るたび惚れ惚れしてしまう。

そして丸山さんのリズムの取り方が最高に色気がある。上半身のみでリズムを取るのではなくて、腰から脚にかけても使うところが。

 

両手をかざして、手でスクリーンを映し出し上へ飛ばし、見上げるような振りつけも綺麗で。搔き消してしまう振りなのが儚い。

 

間奏部分も目を休ませる暇なんて無く、マイクスタンドがダンスの相手であるかのようにステップを踏んで踊る姿が本当に格好よく、紳士。ワルツを踊る恋人同士みたいだった。

ジャズダンスのような振りが美しさを際立たせて、手の動き、ターンの仕方とダンスを美しく見せる基本が沢山つまっているように感じた。ディズニーのショーで見るようなテーマパークダンスが大好きなので、叶うなら関ジャニ∞ジャズダンスを踊る姿をもっと見たい。

賑やかな曲がぴったりな関ジャニ∞だからこそ、しっとりとバラードを歌った時の魅力も計り知れない。

 

 

歌詞にも切なさがつまっていて、

「愛はノスタルジー いまも聞こえるエレジー」から始まるなんて、一行目ですでに切ない。

エレジーというのは哀歌。悲しい歌という意味。そして懐かしんでいるということは、過去のことで。

それでも、いまも聞こえると言っていて、彼女を思い出し懐かしむ男の子の心情が、この曲に表れている。

一番の「切ないウソ 本当は 気付いてた You′re not mine」という歌詞からして、You′re not mineは“君は僕のものではない”と解釈すると、「テールライトに さらわれて」までの歌詞は物語の始まりではなくて、二人が行き着いた先なのだと思った。

「「好き」じゃ足りなくて」から、二人が付き合っていた頃へと時間が後戻りして、思い出が蘇る流れなんだろうな。

 

「夕暮れのアヴェニュー ピエロの恋は テールライトに さらわれて」という歌詞が物凄く切なくていい。

自分の恋を、ピエロの恋と表現するなんて切ないわ…「テールライトに さらわれて」という言葉も、“車”という単語を使わずに、僕ではない誰かに彼女をさらわれてしまう状況を表しているのが情緒があって。彼女は車の助手席に乗り込んで、行ってしまった車の後ろ姿に見えるテールライトなんだろうな…

“さらわれる”という言い方を選ぶのも、良い。大切なひとを守りきれなかったやるせなさが伝わってくる。

 

「がむしゃらだった あの日のステップ  もっと上手に踊れたね」という歌詞からは、あの頃から少し大人になった主人公が、まだ子供だった自分を微笑みながら見ているような情景が浮かんで、映像も込みで見ると丸山さんがその歌詞で優しく微笑んでいるから、胸がギューっとなる。

 

曲を聴いていて、一番ここが好きだ…と噛みしめるのは、「夢を捨てたなら おまえ苦しめるから  涙堪えて 町を出た」のところ。

なんと言ったらいいんだろう。いろんなパターンの想像ができると思うけど、夢を実現するため都会に出て行く主人公をイメージしだしたら、どちら側の心情も伝わってきて、居た堪れない気持ちになる。

夢を追いかけたら側には居られないけど、夢を捨てた自分は好きになってもらえないなんて、どれだけ切ないんだ。

 

渋谷さんのボーカルが物凄くぴったりで、歌謡曲のような声色で歌うことで雰囲気を完成させている。「愛は」の“は”という一音の発声の仕方が、“Haー”じゃなくて“uWa”って感じで、小さな“う”が入っているところがいい。「夢を捨てたなら」の“を”も同様に、アクセントをつけているのが耳に残っていい。

 この曲で横山さんがトランペットを演奏したのもすごくよかった。横山さん本人の緊張と、メンバーの見守る視線と、背中を向けているメンバーも後ろに神経を集中させているのが分かるし、全員で思っていることは一つという空気が暖かくて。

 

一曲を聴いただけで映画を一つ観たような充実感があって、映画の主題歌に使われてもいいくらいだと思っている。この曲の雰囲気が全力で好きだ。

いつか、ライブで再び「青春ノスタルジー」を見られる日を夢見ていたい。