関ジャニ∞「涙の答え」PVから思う。


PVが好きだ。映画でもなく、CMでもない。

4分間に込められた様々な表現方法と、短く終わるからこその世界観がとても好きだ。

 
なかでも最近、ガッと心を掴まれたのが
関ジャニ∞の「涙の答え」
 
初回盤に入っているPVで、友人に借りて見た。あまりに好きな箇所が多すぎたので、思わずCDショップへと急ぎ、自分用のCDを購入した。
そのくらい、このPVが好きだ。初回盤を見つけられたときの喜びたるや。レジでニッコニコしていただろう自分を思うと、若干恥ずかしい。
 
曲は知っていて、よく聴いていた曲だったものの、ストンと落ちきる何かにまだ気づけていなくて、“なんとなく好き” という感覚でいた。
 
それが映像と合わせて見たことで、こんなに世界観が広がって見えるものなのかと、感動して新鮮な気持ちになった。
 

 
幼馴染だった7人は、少年時代から丸山くん演じる男の子の家がやっている写真館で、毎年、7人揃って記念写真を撮っていた。ストーリーは大人になった彼らがいつものように写真館へと足を急ぐ。
 
新入社員のようなまだ着慣れないスーツを着て営業先に電話をしながら歩く錦戸くん、それを後ろからバイクで追い越し “遅いぞ” と煽る安田くん。さらにスポーツ自転車に乗り “なにしてんの、早く 早く” と急かす村上くんに、
「いくよ。行くよ…! 」と写真館へと歩みを速める錦戸くん。
 
全員が揃ったことを確認して、外の様子を伺いながら、店のドアに掛かる札を 『Open』から『Close』に変える丸山くん。
 


そんなはじまり。
 
なぜこんなに魅力的なのかと考えてみても、一にも二にも思い浮かぶのは、大倉くんの少年性。4分間の中で、7人とも台詞は無いに等しく、特に大倉くんは、大きなリアクションをせずに言葉も発さず、表情のみで、単純ではないであろう心情を表していて、そこにとても惹きつけられた。
 
すこし大人になった7人が、いつもの同じ写真館に集まり、写真を撮ってもらう。すこしずつでも社会へ出ていき変わり始める彼らのなかで、大倉くんだけは少年のような瞳のまま。

ストーリーの中で、大倉くんは少年のままでいないといけない。それを台詞なしで表現している。でもそれはもう、はじめのカットを見れば空気感の違いが歴然で、初めてこのPVを見た時から、あれ、なにかおかしい…という、いい意味での違和感があった。

いたずらっぽく丸山くんを見上げる視線や、佇まいから溢れる雰囲気で、それが切ないほど伝わってくる。みんなに囲まれ嬉しそうに微笑む彼は、愛くるしくて、幼い。ストーリーは切ないものなのに、あまりにも大倉くんが純粋に少年で居るから、うれしそうに7人でいるから、映像全体にあたたかい空気があって。私が好きなのはそういうところだ。
 
 
どのシーンが好きかと言えばそれはもうすべてなのだけど、
一つは、錦戸くんの「行くよ…!」の二度に分けた言い方のさじ加減がいいなあと何度も聴きたくなる。決してイラついている訳ではなく、少しすねたような声で、幼い頃から、自分より先を走って行ってしまう彼らを追いかけていたりしたのだろうな…とこれまでの関係性まで垣間見えるような。たった一言だけど、その一言に錦戸くんの演技の巧さが凝縮されているように感じた。
 
それぞれにバックグラウンドがあって、キャラクターもあるのだろうなと思うけど、特に気になるのはお父さんの写真館を手伝う丸山くん。
人のよさそうなその雰囲気から、優しい性格なのだろうというのが伝わってきて、とても魅力的に見える。白いシャツにサスペンダー姿でカメラを覗き込む目線が真っ直ぐで穏やかで。

実際の丸山くんに、町の小さな写真館で働くカメラマンの役で、ぜひ映画に出てほしい。
カメラを持つ男性は素敵だ。

カメラの露出バランスをチェックする仕草も板についていて、お父さんをよく見て手伝っていたのだろうなとわかる感じも、また可愛い。
言葉少なで、ワイワイ喋る仲間をにこにこ見つめているタイプだろうな…と見ていて思った。


演出がとても好きでグッとくるシーンがある。
学校に忍び込もうと、柵を飛び越える瞬間と、警備員に見つかって逃げだす彼らの後ろで学校の電気がフワッと点いて明るくなる瞬間。

柵を飛び越えるシーンは、
一瞬間を置き、飛び越えようと意を決した背中と、楽しんでいるだけではない情緒が感じられて好きだ。クサイことを言えば、“柵を飛び越える” という行動に、まだ残っている少年らしさと、反発心、柵だけではない、しまっていた思い出や何かを越えるというような思いが重なっているように見えたから。無心で越えて行く彼らの姿に、掴まれるものがあった。

逃げだす彼らの後ろで明かりが広がるシーンは、映像のドラマチックさと、7人のシルエットがくっきりと映し出される演出に、廃校が決まった小学校の賑わっていた頃の景色が蘇るようで、感動した。
 

はじまりとおわりがはっきりと描かれているわけではなく、途中の一時を見ているにすぎないという4分間のストーリーが、想像力を駆り立てて、あの後どんな人生を送っていくのだろうと考えてみたくなる。

“少年の心”と言葉にすれば簡単だけど、「涙の答え」のPVは自分にとって、幼さ、成長していくこと を自然と考えるような作品だった。

これからも時折見るだろうなと思う、印象深いPVの一つです。