ドラマ感想

雪が谷大塚を訪ねた日。「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」のあの坂へ

いつか訪れたくて。 でもそのいつかはちゃんと大切にしたくて。 今だな、と直感できた時に、訪ねようと決めていた。 ドラマ「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」坂元裕二さんの脚本作品。 音ちゃん、練くん、木穂子さん、小夏。ドラマの中で、…

第11話 最終話「いちばんすきな花」 - 何もなくなっても、楽しめる4人。

リラックスしている人たちを見ると、リラックスできるのかもしれないと、毎話思いながら見ていた。 4人のそばに自分はいないし、あのお家にも行ったことはないけど、それでも放送されている1時間は私もそこにいるような。 椅子をもう一つそっと置かせてもら…

第10話「いちばんすきな花」 - 大切な人に、大切なことを伝えるのをためらわない。

美鳥ちゃんのモノローグから始まった第10話。 4人から見て語られる美鳥ちゃんから、美鳥ちゃんの語る美鳥ちゃんになった始まりのおかげで、先週押し寄せた不穏さはどこへやらで、寂しさではなくて温かさを感じられた。 グループLINEではなく、個々からくるLI…

第9話「いちばんすきな花」 - 1つの家。1人ではなくなった持ち主。

みんなが仲良くいられたらいいのには、きっとちがうのだろうな… 思わずそう願いたくなってしまう第9話だったけど、それぞれの関係性は、それぞれの具合で成立している。 4人は4人としてバランスを取れたり取ろうとしていたりで、美鳥ちゃんは4人で居る時では…

第8話「いちばんすきな花」 - 思わぬところで思われていることの後ろ盾

漠然と感じた圧倒的な存在感は、向き合ってみると軽やかにふわりふわりと飛んでいった。 それぞれに大切に見てきた美鳥さんと、今の美鳥さんが、そこにいた。 第7話での急カーブハンドルとも感じる展開に、振り落とされるか、しがみつくかどっちかなのかなと…

第7話「いちばんすきな花」 - 意表と茫然のミルフィーユ

これまで服屋さんでどの色展開が並んでいても、紫の服を手にすることは無かった。 それが、紫のニットを前にして、思わず手に取り試着までしたことに自分で驚いた。 4人それぞれが着ている服のコーディネートへの関心と、夜々さんの魅力が私の記憶と心に浸透…

第6話「いちばんすきな花」 - ある角度からは解けて、ある角度からは解けない数式

うううお鍋は美味しく、味が分かる状況で食べようよー…が見終えた最初の気持ちだった。 これまで4人の姿を見ながら、ちょっとずつ積み重ねてきて、 わからないけどわからないことも含めての、4人であり個々を受け取り始めているかもと思いはじめていたところ…

第5話「いちばんすきな花」 - お茶碗二つ分にある優しさ

鬼ごっこで、ターゲットにもしてもらえない感覚。 紅葉さんの始めのモノローグは、“そうありたかった”という願いで、実際とは違ったように見えた。 ぐうう…ってなって、ぬうう…ってなった、第5話。 紅葉さんではないし、わからないけど、どうしてかなあとい…

第4話「いちばんすきな花」 - 4等分にしなくても渡し合えるもの

この時間ずっと、夜々さんの心がどうあるかを少しでも知りたくて、じっと見つめていた。 女の子らしくいればいいのにと育てられたことはなくて、ランドセルの色こそ選べる時代ではなかったけど、 ピンクは別に好きじゃない。水色が好き。と言える場所にいた…

第3話「いちばんすきな花」 - 明日枯れる花束

「正義感が強すぎます」と言われた日のことを思い出す。 先生は困ったように、少し怒って、親にそう言っていた。何か褒めて貰えるかのかと期待した私は、居心地が悪かった。 親は私になにかを変えるようにとは言わなかったけど、正しくいようとすることで嫌…

第2話「いちばんすきな花」 - いつものマグカップ

4人だけがすごす時間を、見せてくれてありがとうと思った。 4人がもし仮に、何らかの街で何らかのインタビューを受けて、どんな関係の4人ですか?テーブルを囲んでお話し?それ取材させていただいても良いですか?なんてことを聞かれたら、 こんな一面は見せ…

第1話「いちばんすきな花」 - 静かに沈殿していく解せなさ。

私の目の前にいま、ガーベラが、花瓶とすることにした瓶に飾られている。 オレンジ、ピンク、黄色、紫、白。 太い茎だけど繊細で、水の吸い上げと茎が腐らないように気を配る。花の部分もお花屋さんから持ち帰る時にはエリザベスカラーのように囲いがつけて…

やはり「潜入捜査官 松下洸平」は面白かった。

面白かった…噛み締めて言うほど。 TVerオリジナルドラマ「潜入捜査官 松下洸平」 松下洸平さんがする、“得も言われぬ顔”は反則だと思っている。人という存在のおもしろさ不思議さ哀愁を体現していると感じるくらいに魅力的だから。 第2話での板挟みな松下洸…

「潜入捜査官 松下洸平」が面白い

役者さんとして、シンガーソングライターとして。 あの作品やあのバラエティ、あの歌番組で徐々に知っていったつもりでいた『松下洸平さん』 その芸能活動が実はかりそめで、潜入捜査官として、裏では任務に取り組んでいたとしたら…!? という、うわ気にな…

ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」- ラジオイベントが繋いだ思いがけない友達

自転車を漕ぐ足がほんの少し軽くなったような、柔らかい風の吹くドラマを見つけた。 ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」 テレビ朝日で日曜、夜10時からの放送。 エレキコミックと片桐仁さんのラジオ番組「エレ片」で何度も耳にしていた、ラジオリスナーが集うバス…

ドラマ「海猿」後半 ー バディとして共にいること

果てない想いを 君に捧げよう 握りしめた この手は はなさない 嵐の中でも 真っ直ぐ、“握りしめた この手は はなさない”と届く声が、本当に手を掴まれているような感覚になる。 絶対に離さずいてほしいと、力を込めたくなる。 B'zが歌う、主題歌「OCEAN」 エ…

ドラマ「海猿」前半 ー 船を好きになって、海を知りたくなった

最初に買ってもらったDVD BOXは「海猿 UMIZARU EVOLUTION」だった。 それも、並々ならぬ熱意とプレゼンテーションで買ってもらったもの。 ドラマ放送後、発売を知ったDVD BOX。どうしても。どーしても欲しくて。 ドラマのDVDって2万円もするの!?プレゼント…

どこでもなく、でもここにある。ドラマ「夢中さ、きみに。」

動かさない表情筋が素晴らしい 平熱で、だけど体温がちゃんとある ぎゅっと24分で映る、その機微。 和山やまさん作の漫画「夢中さ、きみに。」がドラマになった。 舞台を観ているみたいな安心感もある。だけど映像だからできる演出の遊び心も感じる。 林くん…

遠回りでも、振り出しじゃない - 第10話「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」最終話 感想

電話を受けた木穂子さんの動揺と、咄嗟に座り込む姿からはじまる最終話。 病院で、引ったくりにあった女の子は状況を知らずに楽観的に話してしまう。 感情を堪えきれない朝陽に、お互いの状況を考えて間に入った練。朝陽と女の子の会話を見ている時の練の表…

思い出が故郷になる - 第9話「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」感想

ちゃんと描き終えてから渡したい似顔絵を、音から取り上げて、途中のまま練に渡した朝陽。 音の抑え込んだ表情が、第1話の無理に決められた婚約者に向けたものと似ていて悲しかった。 木穂子さんが静恵さんの家にやって来たタイミングも印象的だった。 「音…

綺麗な空のはなしがしたい - 第8話「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」感想

会えて嬉しい、でも。 練くんが音に真っ直ぐ向き合うようになった、でも。 いまは音が、練に真っ直ぐには向き合えない。「プロポーズされてます」と正直に話す音だけど、歯切れが悪い。 話しながら、机の上にペンで星を作る様子が印象的で。大事な話であれば…

ドラマ「メンズ校」どこにもないここだけの夏

「今を犠牲にしなければ、未来は手に入りませんか」 先生に尋ねた、野上の質問にドキッとした。 そういうものだと諦めた枠から視点を変えたとき、どっちもが叶うかもしれないと思うことは、考えが青いだろうかと問われた気がした。 家の事情で海外へと行くこ…

しあわせになれ、みんな。ドラマ「姉ちゃんの恋人」に感じずにはいられなかった願い

“この世界は愛だけで成り立ってるわけじゃないし、いい人だけしかいないわけじゃない。” 和輝のナレーションで、芯に触れた第8話の言葉が、心に残り続ける。 人は幸せになってもいい。元からそんなことわかっているつもりなのに、時々忘れる。 ドラマ「姉ち…

レシートに刻まれた日々 - 第7話「‪いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう‬」感想

朝陽くんからの音へのプロポーズ。ロマンチックな瞬間のはずなのに、こんなにも息苦しい。 その指輪に、指を通すことすら躊躇う音の律儀さにクッと胸が苦しくなった。一旦はつけたってよかったはずなのに。それでも。 落ちた指輪に察したような、力の抜けて…

見つけ出せない存在「MIU404 第10話」

視聴者として、志摩や伊吹よりも、久住の顔も動向も見てきているはずなのに、それでも得体の知れない存在を見ているようで。 MIU404 第10話〈Not found〉 わかり合う気が相手に毛頭ないという意味で、会話が成立しない存在を前にした時の、恐怖。 第9話ラス…

聞こえる時、聞こえた瞬間「MIU404 第9話」

サブタイトルの不穏さが、ずっとずっと恐かった。 MIU404 第9話〈或る一人の死〉 もう誰にも無念を感じてほしくない。 警察という職務にあたる以上、困難なことだとわかっているのに、誰一人として欠けず、傷つくことなく。出会った以上、掴んだ手は二度とす…

向けた眼差し。通じる心と通じぬ心「MIU404 第8話」

見つめる眼差し。言葉以上に思いが溢れる。 MIU404 第8話〈君の笑顔〉 見終えた後、言葉を無くした。蓋をして閉じてしまいたかった。どうかそんなことは起きなかったと、すべてがもしもの話だと、ひっくり返してほしかった。 桔梗さんの家に仕掛けられた盗聴…

ポインターが指し示す、今居る場所「MIU404 第7話」

いま自分は、どこにいるのか MIU404 第7話〈現在地〉 そっと隠れて息を潜め、誰にも見つからない。でも見つからないことで、見過ごされる分岐点があるとしたら。 目線を持って行かれる注目どころがあっちにもこっちにもありすぎて、二度目をすぐに見たくなる…

突きつけた矛先、許せない後悔「MIU404 第6話」

繰り返し、思い出す。 MIU404 第6話〈リフレイン〉 ウイスキー、ヘアクリップ。ランプの灯り。ピタゴラ装置。いろんなことがリフレインする。 かつて捜査一課で、志摩が組んでいた同僚。 香坂義孝 相棒だけど後輩で、大切な後輩で。ちゃんと育てていきたかっ…

目の前に居るただ一人のあなた「MIU404 第5話」

ここでならきっと。そう希望を抱いて来た場所が、そうではなかったとしたら。 MIU404 第5話〈夢の島〉 今までずっと、シーンひとつも目線の動きも見逃したくないと食い入るように見ているからこそ、ここで目を逸らすわけにいかない胸の苦しさだった。 ベトナ…